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□*仲直りはお早めに*
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「名無しさんちゃん可愛いからついついモモちゃんも甘くなっちゃうんだよね!!今日もバンバン話振るからね!!」

「はい!今日も収録楽しみですっ!」



なんだよ、なんでそんなに楽しそうなんだよ……昨日俺と喧嘩したのに……

名無しさんは何も悪いことしていないのになんだかもやもやしたものでいっぱいになった。


「あーぁ、名無しさんちゃんみたいな子が彼女だったら嬉しいのに」

「百さんならもっと可愛い子のがお似合いですよ」

「えー!名無しさんは充分かわいいよ!!もうキュートすぎていっつもテレビとかみててユキと鼻の下伸ばしてるよっ、なんてね!!それは冗談だけど、本当可愛いなぁっておもってるよっ!」

「百さんもいつもすっごくかっこよくて憧れです」


ここが限界だった。

いい加減我慢できなくなって、俺はドアを開けた。

百さんが三月!!!と明るく声をかけてくれて、一方の名無しさんは決まづそうに目をそらした。

なんだよ、さっきまで百さんとあんなに楽しそうに話していたくせに、俺が来るとそうなのかよ……。


「三月も挨拶に来たの?今名無しさんちゃんすげぇ可愛いて話しててさ!三月もそう思うよね!?」

「百さんすみません!こいつと少し二人にしてもらえませんか!?」


先輩アイドルでお世話になっている百さんに失礼なお願いだとはわかってても、俺はそういわずにはいられなかった。

百さんは少し考えた顔をした後に「OK!俺もそろそろ撮影のことでスタッフのとこ行かなきゃだしね!」と言ってくれた。


ほっとして百さんが出ていくのを見送ろうとした瞬間、本当にすれ違う瞬間に百さんは俺を見てニヤリと笑った。


「三月なら大丈夫だよ、仲直りできるって」


え!? 何で百さんが知ってるんですかって顔をすれば「モモちゃんの情報網を甘く見ないでね!」って言われた。


「じゃあ名無しさんちゃんも三月もまた後でね!!」

「はいっ!」


パタンとドアを閉じて百さんは出て行った。

まさか俺とこいつの関係まで知ってるのか……百さんならありえる……



そこは頭の隅に置いて、俺は名無しさんに向き合った。
やっぱり目を合わせないのが無償に許せなくて俺は彼女の肩をつかんでこっちを向かせた。


やっと見れた名無しさんのダークグレーの瞳は今にも泣きそうなくらい潤んでいて。

百さんはこいつのこと笑顔にしてたのに、自分ができていないことが我ながら情けなくてたまらなかった。

俺が一番、こいつの笑顔が大好きなのに……


「あのさ……」

「ごめんなさい!!」


とりあえず謝ろう、そう思ってまっすぐあいつの目を見れば先に謝ったのは名無しさんだった。


「三月の気持ちなんにも分かってないのに、あんなこと言ってごめんなさいっ、すぐ電話相と思ったんだけど、怖くてできなくて……三月にきらわれたんじゃないかって思うとどうしても……本当にごめんなさい」


名無しさんの瞳から大粒の涙があふれる。

あぁ、泣かせてしまった……本当だっせーな俺……



「お前は何も悪くないよ、悪いのは俺だ。ごめんな……」


そう言って涙をぬぐえば、余計にあふれてくる。
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