ビロードウェイ
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昔の記憶…
「ナナシとは遊ぶなって母ちゃんに言われた」
「私もナナシちゃんに関わるなってママに言われた」
『みんな…なんで…』
昨日まで一緒にいた友達に急に距離を置かれた。
私何かした…?
どうして怖がるの…
「ナナシちゃんのお家は普通じゃないからって」
そう言われるまで私は
自分の家が普通の家だとそう思っていた。
そう私の生まれた家は
ヤクザ一家。
私の父、泉田喜久雄は “銀泉会” の親分だった。
自分の生まれた家系を恨めば吹っ切れて簡単に立ち直れたかもしれない。
でも私は
“普通”との繋がりも
“家柄”の繋がりも
大好きだったので悩みに悩みこんだ。
その結果、小さい頃の私は人と会うのが嫌になり自分の部屋に引きこもり気味になってしまった。
人と会って好きな人達に好きな人を拒絶されるのが辛かったから。
部屋に1人こもってやる事もなかったのでひたすらパソコンをいじっていた。ゲームをしたり音声合成ソフトを使って作詞作曲をしたり割と自由に過ごした。
そんな日々が数年続いたある日突然その時はきた。
「ナナシ。今日からお前のお世話係の古市左京だ。」
「はぁッッ!?」『えぇッッ!?』
父が急にそう言って1人の男の人を紹介してきた。
年齢は恐らく18~20ぐらい。
急にお世話って…。
「おっ、おい!なんで俺がガキのお世話係なんて…」
『ガ、ガキじゃないよッッ』
初対面なのにいきなり指さして人のことガキっていってくるこの男の人、古市左京と言うらしい。
「俺から見ればどっちもガキだ!気にすんな!古市の部屋はナナシの隣使ってくれ。後はよろしく頼むぞ~」
「まっ、おいッッ」
そう言って状況を理解出来ていない私の前から颯爽と去っていく父。
これが私と古市左京の出会い。
そして人生を大きく変える出会いなのだ。