ビロードウェイ
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左京さんには場所を伝えただけなのに地図を見ずに目的地の
mankaiカンパニー
へ向かってくれた。
『左京さん、mankaiカンパニー知ってるんですか?』
「…まぁな、昔話しただろ、俺の大切な場所。それがmankaiカンパニーだ。昔と今じゃ大分違うけどな…」
そっか…それで名前を聞いた時複雑な表情をしてたのか…
『そうだったんですね…あっ、ってことはもうその舞台観劇済でした?』
「…まだだ。」
左京さんにとって第2の家族であり、借金肩代わりでヤクザとして取り立てしてでも潰させたくない大切な思い出の劇団の公演。
思いれがあるからこそ中々踏み出せないでいたのだと思う。
『私一回見たんですけどとってもとってもよかったです!是非左京さんと一緒に見たくて …』
素直に気持ちを伝える。
「ナナシ…。」
ワシャッ
『わっわっ!な、何ですか急にッッ』
左京さんが急に運転しながら空いている手で私の頭を無造作に撫でる。
「フン、ガキが一丁前に気ぃ使いやがって。ほら着いたぞ。」
『ッッ!結構人多いですね!』
ガキじゃないです!!!!
そう言おうとしたのに目の前の入口の人の多さにタイミングを逃して閉まった。
『車止めて中入りましょう!』
「そうだな」
既に買っていたチケットを右手に握り、
少し緊張している左京さんの右手を左手で握り、
私達はmankaiカンパニー 春組公演を観劇した。