ある朝起きたら太宰になっていた件について

□もしかして...
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憂鬱な朝。

薄暗い目蓋に明るい光が差してくる。
眩しくなって「う、」と唸り寝返りを打つと、規則正しい寝息が聞こえた。

私の寝息...かな。



薄目で天井を見渡す。
白い天井。
私、こんな処で寝てたかな...

昨日のことを思い出そうとするが、
上手く思い出せない。


むく、と起き上がって目を擦った。
手に包帯が巻かれている。




あれ、包帯なんてしていたかな...。
何か、頭痛い...
しかも一寸寒い、そういえばまだ三月だったっけ。

部屋には日本酒とワインが無造作に置かれている。
私の体もほんのりとワインくさい。



...ん?


隣ではまだ規則正しい寝息が聞こえる。
私は起きているのに、どうして?


盛り上がった蒲団に手を掛け、おそるおそる引っ張ると

オレンジ色の髪の毛をした
私の好きな人が上半身裸で寝ていた。















治子「ぎゃー!!」


ベッドを離れ、ドア付近の壁に寄り掛かる。
むく、と起き上がった中也が切れた。


中也「うっせえな朝から気持ち悪ぃ声出しやがって。

...糞太宰」





治子「え、え?」


太宰さん...?

中也の首にはチョーカーだけがあ
って、引き締まった体が露になっている。
腰に巻かれただらしないベルトからは腹筋とヘソが見えていた。

そして自分に起きた変化も分かった。

両手や体を見てみると上半身裸で、しかも太宰さんの体であることに気が付いたのだ。



治子「ええー!!!!!」

は、破廉恥だ!!



中也「朝から耳障りな声出すんじゃねえ!」


中也に頭をボスッと殴られる。
嬉...一寸痛かった。







中也「ったく、昨日はあんなことしやがって。腰が痛ぇじゃねえかよ、糞」


中也はベルトをカチャカチャと弄くっている。私(太宰さん)が寝ていたベッドには二枚の白いシャツがあった。


一寸待って、私(太宰さん)は昨日ここで何をしたの


先刻の中也の裸で真っ赤になってしまった顔を隠し、中也に聞いてみる。




治子「ちちち中也さん、昨日、太宰さ...わ、私と何があったんだい?」


中也「ア“?壊れたロボットかよ手前は」




中也は私に近付くと私の髪の毛を掴み、ぐいっと自分の方にやる。




近い近い近い近い



白シャツの間から見えた鎖骨にドキドキしてしまう。


中也は淡々と言った。




中也「ヤっただろ。」
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