【東京リベンジャーズ】
□過ぎ去りし王国に想いを馳せて (2)
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深夜1時。
極悪の世代はイザナを中心にテーブルを囲んでいた。真ん中の深緑のソファにイザナが前屈みになりテーブルに手をついている。
イザナの隣で心配そうな顔をしているのが鶴蝶でその横にソファの背もたれに尻をつけ面倒くさそうな顔で部屋の一点を眺めているのが獅音。
左に蘭、その右隣に竜胆が、アンティーク調の古い椅子に座っている。観葉植物を飛ばしモッチーが腕組みをしイザナの様子を訝しげに見つめていた。
獅音「大将を襲った奴らの素性が分かった」
ぶっきらぼうな獅音の言葉にイザナは顔を上げる。
モッチーが書類のようなものをテーブルに置くと獅音除く皆が注目する。
竜胆「土に竜...?」
望月「「モグラ」だよ。土の中を嗅覚を頼りに餌見つけるモグラと屋内に侵入して獲物を横取りする土竜を掛けてんだ」
モッチーは舌打ちをし気性が荒い様子を見せながら「こんなとこで会うなんて忌々しい」と呟いた。
蘭「光に当たれないから餌だけ横取りします、か自虐的でいいじゃん」
蘭は俺たちみたい、と鼻で笑う。
竜胆が「まだマシだよ」と付け足した。
蘭「どうする大将」
と言われたがイザナは書類を見つめたまま動かない。仲間同士が顔を見合わせる。
こんな時いつも先陣を切るのはイザナからの信頼が最も厚い鶴蝶だった。
「奪還しようイザナ、名前が危ない」
「理解ってる鶴蝶。だがどうするんだ殺されていたら」
イザナの頭に悪い想像が広がり鶴蝶はそんなトップが見せた焦燥に目を見開く。
名前がどれほどイザナの中で大事なのか。
鶴「イザナ...大丈夫、大丈夫だ」
トップを宥める事はできないと分かっていたのだろう。鶴蝶は繰り返し呟く。
それを見て鶴蝶が自分に言い聞かせているみたいだと思ったイザナは尚更惨めな気持ちになった。鶴蝶に自分の気持ちを悟られているか察されているのが嫌だった。
「もういい、俺一人で行く」
イザナは立ち上がり仲間の方に背を向ける。
鶴蝶だけが口を開いた。
「イザナ」
「何だ下僕。お前が行って彼女を助けられるのか」
「俺一人じゃ戦えない、だから俺たちが周りを片付ける。イザナは真っ先に名前の元へ向かってくれ」