【東京リベンジャーズ】

□【三ツ谷隆】
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デザイナー三ツ谷と同級生夢主の話

はじまりは秋のまだ夏の暑さが残るころ。
リーダーシップがある派手な彼女。
クラスの一、二軍に属しており男友達も多く外見が華やかな人だったから、自分とは縁がない人だと思い込んでいた。

しかし10月の席替えシーズンに転機が訪れる。俺が引いたクジは窓側の席。荷物を抱え一ヵ月あまり世話になった席に別れを告げ移動すると眼前には名前がいた。
俺が席に腰を下ろすと後ろで女友達と駄弁っていた名前さんがこちらを向いた。距離が近い。踏み込んでくる。


「あ、お裁縫の人だっけ?宜しくねー」

俺のカバンを勝手にいじり、筆箱から何かを抜き取る。横から覗いてみるとノリを手にしていた。
忘れたのかな?
いや、そうじゃなくて何で自分のから取るんだと注意しようとしたが、面倒なことになりそうでやめた。
思い違いだったらどうするんだ。名前はそのあと軽い挨拶をしたりして話しかけるようになっていった。
名前さんは勢いよく腰を下ろしたかと思うと教科書を取り出してある紙を俺に渡した。

『何て呼べばいいかな』
ペンギンの絵がついた可愛らしいメモ帳。大人びた中学生なのにこのペンギンをチョイスする子供くささに笑みが漏れる。笑ってしまう。
「そーゆーことは直接言いなよ」と名前に言った。


「照れ臭くて、えーと三ツ谷くんって呼んだら良い?」

髪をかき上げる名前。
ピアスを付けているのに興味があって話しかけた時から始まっていたんだと思う。

「それ開けてんの」
親しげに話しかけてくる三ツ谷に名前はときまぎしていた。

「あーははは、不良ぶりたかったくてさ」
「へー何で。叱られんじゃん」
「親がうるさいからよ〜ふふ
__これはアタシのアイデンティティー」

黒く輝くピアスを指差した。
何か彼女なりの理由があるようだったが踏み込みはせず「へぇ...」と笑うと追撃が来た。

「あなたも眉毛を剃ってるから私と同じ立派な不良。左耳の十字架見えてるよー
この中学じゃ、おとなしい方かもしれないけどね」
名前は周りを見渡していた。名前は勉強、特に数学が苦手だった。最初は親切心で教えてやったのだがだんだんと熱がこもり始める。名前もテスト前は俺に聞いてきてくれた。
俺もたはは、と笑う。勉強を教えている時に名前の胸を見てしまい胸が熱くなる。

「三ツ谷はいつも裁縫やってるけど何になりたいの?」
「デザイナーだよ」
というと名前はそんな職は知らないと瞬きをした。デザイナーがどういうものかわからない名前のために俺はノートに絵を描いて教える。名前はパッと出てきた俺の衣装デザイン案をじっと見つめた後目を輝かせていた。
「すぐに色んなデザインを思いつけるとこ凄いね、わたしはこれが好みかな」
名前は大ぶりなリボンが編まれたドレスを指差した。
「お姫様に憧れてさ、今のわたしには似合わないけど
名前が笑っていたが俺は「いや似合うよと言おうとして辞めていた。とても綺麗で似合うだろうから。
尊敬する人の話をしたことがあった。
シャネル。帽子屋の元カレと付き合っていたと言ったところで名前は苦い顔をした。
私苦手かもその女。

「そう?
「そっか似たもの同士じゃん」
「仲良くなれそうだねアタシら」

部活。
どうにか採寸にこぎつけた。夏にしては白すぎる肌に下着。胸部は思春期だからかブラジャーをつけていてそれが白いランジェリーの下から透けていた。

「早く」
催促を受けはかりにいく。名前の華奢な腕が伸びた。


「あはは、顔真っ赤じゃん」
「当たり前だ、女相手だぞ」
だからこんな言葉には驚いてしまう。

「...触ってみる?」
「え」
好きな男性がいると聞いたのは初めてのことだった。名前の友達から話を聞いて俺は分かりやすく顔を顰めたらしい。
そんな嫌な顔しないでと言われた所で名前への好意が中途半端なものではないんだと認識することが出来た。幸い友達は勇気が出ない俺に協力してくれて相手は大学生らしいとリサーチ出来た。歳上の男性が好きな名前らしい。
「ありがとう〇〇さん」
「頑張ってくださいね」

学園祭。


あの日頭に鈍い衝撃を受けた相手。灰谷蘭だ。
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