【中原中也】キスしたら七日前に戻った話

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幹部室に行くと既に机の上で作業している中也先輩が見えた。


「おはようございます、中也先輩!」

中也「ああ。早かったな」



心なしか先輩の挨拶は素っ気ない。

机に積まれた何十枚もの書類を睨み付けているから無理もないと自分に言い聞かせてみたけれど一寸寂しかった。

「先輩、お手伝いしましょうか?」


と声を掛けると




中也「おう、悪いな。手前は此れを遣って呉れ」



と云われ、先輩より明らかに少ない量の書類を渡される。
もう少し仕事を増やしても良いのに、と心の中でぼやき、書類や資料を受け取った。


数枚の紙がホチキスで止められており、頁を捲るとポートマフィアへ運ぶ密輸船についてや
抗争地帯について、武器の貯蔵についてなど
詳しいことが書かれていた。

中には全て英語で書かれている文章もある。



「分かりました」


書類を整え作業に打ち込んでいると、先輩がいきなり頭を抱え、ハァ!?と云った。


「如何したんですか?先輩。」


中也「武装探偵社員について教えろだとよ。
ったく何でポートマフィアが探偵社について調べなきゃならねぇんだ」

先輩の手元を見てみると送られてきた書類は手書きで外国のサインが記されていた。



中也「こんなものは白紙だ白紙だ、首領に報せた後棄ててやる」

「ですが探偵社の今の異能を把握するために必要では?」





武装探偵社に新人が入ったとしてその異能を把握しておくのとしておかないのでは差がついてしまう...




中也「だがこんな事...」

「なら、私が調べにいきます」




というと先輩は煙草の吸い殻をコツ、コツと叩き乍ら、首を振った。


中也「駄目だ。手前には行かせらねえ。」

「でも」


中也「幹部命令だ。」



鋭い眼光を前に口を閉ざす。
はい、と小さく返事をした。


如何して先輩はこんなにも冷たいのだろう


シュンと気分が沈み、

引き続き作業をしていると
ばつが悪いと思ったのか先輩が話し掛けた。



中也「...如何してもって云うんならこの紙を首領に届けてきて呉れ
其処でこいつを如何するかが決まるだろ」


「という事は、御遣いですか?」



一息吐いた後、先輩は云った。


中也「ああ、そうだ。手前も暇だろ?
行って来いよ」


不意に笑った先輩に胸が高なり
分かりましたと返事をして即座にドアを閉める。

今日は、如何したんだろう...


ドアに寄り掛かって息を吐き出した。
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