01作品集

□出世欲の強いプライド高ピンガがジンニキにヤラれるだけ
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チンピラ理解らせ

俺の管轄するエリアは、組織の中でも名誉ある地位だ。ユーロポールに潜入してはや5年、このまま順調に任務をこなし、戻ればあの方に認めてもらえる日もそう遠くはないだろう。翌年にはコードネームも与えられ、幹部にも昇格し目標はクリアできてきている。
幹部の数は少ないのだから俺が指折りの実力者になれる日も着実に近づいてきた。何たって俺は優秀だからな、それもこれも間抜けな組織のおかげだ。

今日も潜入先に潜む。個室で女装を済ませ出てきた俺にフランス人の男たちが話しかけてきた。
この大人しそうな見た目だと躍起になる男どもは多いようだ。自分が上だと勘違いし「品定めに勤んでているようだが生憎俺は男なので奴らの期待なんざ答えらんねぇ。きったねぇな、ナンパ男なんてどの国も変わらねモンだ。そう思いながら寄ってきた男どもの額にヒールの先を叩き付け先を急いだ。

逃げ切ったあと黒の組織の幹部格、ジンに連絡を入れる。ワンコールほどして受話器の向こうから低い声が聞こえてきた。

「ピンガか」
「ええ、昨日の任務は終わったわ」
「フランスにいる所悪いな もうお前が部下の尻拭いをすることはない
予定通り○○地区選挙立候補者○○抹殺を頼む 綺麗な血飛沫を期待しているぞ」
「いよいよ明日ね、ええお望み通りに」

噂の通り、ジンという男は冷徹な人だった。彼は俺の苦手なタイプの人間だ。
まず冷酷。男が考えていることは読めず、周りの人間と滅多に馴れ合わない。ひまな時や任務の間に周りの人間と談笑することがあると思うがジンにはそれがない。下の人間から同僚、上の立場の人間までジンは事務的な態度を貫いていた。口を開くのは命令の時のみ。初めてジンと会った時なんか、俺は嫌われたのではないかと凹んだほどだ。
喋らないならまだいいが、決定的に嫌いなところがある。部下がヘマし不機嫌になったとき、言葉や行動に「怒り」が見えるところだ。そして何でも独断で動きその直感がだいたい当たっているところだ、俺はこれが理解できなかった。自分は怒っているのだと周囲の人間に認識させることで場の空気を圧迫させ皆を黙らせる。過度な緊張感は、かえって失敗を生む。任務失敗というヘマを犯したものに対し、普通だったら叱ったあと「次は頑張れよ」と言うがジンにそんな温情はない。
早いとこ、この男を幹部の座から引き摺り下ろして殺してやる。
今までいっぱい殺してきたんだろう、なら今度はお前が蹴落とされても文句を言う筋合いはないよな。無慈悲な男なんだ、ああお前の仏頂面が苦痛に歪んだ顔になるか、生を諦めて毒薬でも飲んで自害するか、どちらかわからねぇが自分はそのときのジンの人間らしい顔を肴に死にゆくさまを眺めるとしよう。
俺にだったら出来るぜ。ジンやスナイパーらが待つ裏手の倉庫に向かった。今回の作戦にはラムが一枚噛んでいるらしく場の雰囲気は明るかった。ラムに好かれたのは嬉しかった。ラムにとって上昇志向の俺なんか良いエサが来たとしか思っていないだろうがこれから信頼してもらい地位を確立してやるなら今は喜んで食われていてやろう。
作戦が決行され、俺は〇〇殺しを完璧に成し遂げた...はずだった。任務を成功させたのはいいが、俺の連絡漏れで〇〇が手にしたリストを所持している仲間がいると聞き、俺は潜入を二日ほど続けることとなった。

クソクソクソ。
ホテルに入り個室で部屋を殴り付けていると後ろの扉から聞き覚えのある声がする。
「おい」
扉を開ければそこにはジンがいた。
ホテルの椅子に座り、タバコを蒸している。市街地の夜景が顔に反射していてそこだけ赤々と燃えている。ぷっと音がして火が付いたままのタバコを絨毯の上に投げれた。
(引火するだろ!)
思う間もなくジンはタバコを踵で踏み潰した。靴にも絨毯に黒く吸い殻がついている。汚い。俺は、早く彼が向こうに行かないか機嫌が悪くなり、少しでもこちらの事情を匂わせようと音を立ててスーツケースを床に下ろした。
しかしジンはこちらを見向きもせず、またタバコを咥え始める。何がやりたいのと考え立ち上る煙を見るが話さないと埒が開かない、「おい何をしてんだ」と言うと俺はジンは話をし始めた。

「報告したつもり、なんてミスをしているようでは使い物にはならない。今日はお前の代わりに獲物を始末してやったが不手際が出ると困るんだ」
モスグリーンの冷たい瞳が俺を見下ろしていた。俺は取り逃したことを悔いた。「確かに、な」と言う冷たい返事しか返ってこない。俺は心の奥で辛苦を舐める。

「うかうかしてんじゃねぇぞ、明日早便で帰れ、ぐずぐずしてもらっちゃあ困る」
自分は独断専行しないような言い草だ、勝手に処分したのはお前だろう。ジン、お前の采配で全て決まるのに。
ジンは部屋を後にしようとするジンに俺は唇を噛んで黙って見守った。しかし、いつまでも言われているままではいや、言ってやる。言わないと一生そのままだ。
思いつきの行動だ。

「独断専行は俺だけじゃないぜジン」

俺は自慢の長い腕を広げステージに立ったようにクルリと方向転換する。

「お前指導者向いてないんじゃねぇの?
不手際があった際の判断が杜撰だ、俺は技術者だが向いてるなら指導者側についてやってもいいんだぜ」
ジンは顔をピクリとも動かさずドアを閉めた。
「図星か」という捨て台詞を残して。


その後、言いたい放題言ってすっきりした俺に運がむいたようにしばらくの任務にジンは顔を出さなくなった。しばらくはラムとの任務。片腕代わり。あまりに上手くいくのでジンや俺の様子を見て可能性を感じた上司が恐れ慄き、俺を上にしてくれたのではないかと錯覚するほどだ。ジンがいなかったから力を発揮できたのだと思う。やはり共同作業はできないし、気は合わないだろう。板についてきた頃、ジンと再び共同任務を組まされることになった。息が合わないが、作戦は良好。別の任務に行こうとしたとき、ジンに話しかけられた。

「一杯どうだい」
付き合いだ、すぐ帰ろうかと思ってた。街角の小さなバーに入る。レコードの音がする。席に着くとジンはいきなり話しかけてきた。

「本題だがテメェ、俺の地位を狙ってんだろ?
出世欲のあるヤツは良い」

いきなり何の話をするんだろう。
力を認めている?
言わなくてもそんなことは理解ってるよ

「だがなぁテメェがその位置にくんのはまだはえぇんだよガキ」
と言うと丸テーブルに写真がいくつか叩き付けられた。見てから虚を突かれた。心臓の音が大きくなった、
写真に映っていたのは防犯カメラらしき視点から撮られた俺の姿の隠し撮り。そしてこれがジンにバレていた、という事は俺が秘密裡にジンの弱みを掴もうと画策していたことを悟られていたことになる。これは動かぬ証拠になる。俺は押し黙り、かわりに奥歯をぎりりと噛み締めた。無機質な双眸がこちらを向いている。
_たかが一幹部が、末端の構成員と連絡を取るという手間を掛けて防犯カメラを調べさせたのか?
時間もかかるはずだ、そこまでの権力を握っていることなど俺は知らない。いえ違う、監視カメラに記されている時刻をよく見るとこの時間帯は構成員が入れ替わるタイミングと被っている。つまりジンは構成員たちが入れ替わるタイミングでこちらにきて写真を撮ったということだ。個人的に調べ上げたのか。

「驚いた...探偵みたいなことをする...そこまで興味を持ってもらえて嬉しいよ」
半笑い気味に返したがジンは何も言わずただ俺の顔を見つめている。モスグリーンの冷たい瞳があるだけだった。
「上には言わねえよ」
そんな声が聞こえて喉の奥が小さく鳴る。弾かれたように顔を見上げるがジンは俯くだけ。一体何をするつもりなのか、男の真意がまるで読めない。

「まだ何も見つけてないのに、は、警戒心が強いな」と言うとジンは笑みを深める。
「もう見つけてんだろ右ポケットにシェリーのデータを記録したUSBメモリを」
取り出してみろ。今までより低く感情の乗った声色に体が動かなくなった。まずい、これは秘密にしていたシェリーのことを探っていた動かぬ証拠だ。何で気付かれた。

「これくらい推理できなきゃ殺し屋も務まんねーだろ?」
はぐらかしても無駄だと素直に認めよう。
一体なぜ上に伝えないのだろうか、何の取引を持ち掛ける気か訊いたら、ジンは本音をまだ隠しているようだ。
何か探られたくない秘密でもあるのか。なら揺さぶりをかけてやろうとした。

「やけにこの女に詳しいのね
何?昔の女かしら」
「フンッ昔のことなんざ覚えてねーよ、俺がなぜ上に報告しないか疑問視してるようだが生憎真面目な事情じゃねぇ」

ジンは話しながら立ち上がり私に近づいてきた。何、と問いかける暇もなく、手首を引かれる。何だ、地雷ふんだか?
大きな手で塞がれては動くことが出来ず、そのままバーを後にして向かったのは小さな小屋だった。まさか。ジンの言っていた真面目ではない事情に察しがつき、顔が青ざめていく。
ふかふかな羽毛布団へ縫い付けられた。
「は...?」
「悪かった。俺はお前を図りかねていたようだ」
口では謝っているようだが何の感情もこもっていない。ただ彼なりに何かを掴もうとしていることだけが分かる。背筋が冷たくなった。

「おいおいなんだお前は!ホモなのか?!
なら大人しく靴でも舐めとけよ!」
バタつく俺の足をヒョイと広げ、俺のネクタイに手を付ける。支えを失った俺は反抗したが、をくつろがせ柄パンを下げた。半勃ちになったモノを乱暴につまみ上げる。
いきなりカサついた分厚い手のひらに押されたモノはビクリと跳ね、脳に電流のような刺激を伝えていく。いきなりのことに驚き冷静さを失い「おっ」と間延びした声が漏れる。俺は急いでジンから離れた。

「触んな!」
「やっぱりそうだお前がよく女の犯人を演じている意味もわかる。個人的趣味に口出ししないがお前はホンキで女になりたいとおもっているみてぇだ。ソレ、女に使ったことはあるか?」
一度だけある、快楽を得るために使った。しかしそれ以上はどうも気が進まず男性器を使うことがなかった。なるべく触らないようにしていた。女に入れたときに感じた温かさと悲しそうな顔に冷めたから。俺は女より女の気持ちを労ってやれる。女装趣味も女性になりたいのが始まりだった。
野蛮ではない、綺麗で美しい女の人が芸術として好みだから。
女装はあるべき自分で居られるから好きで男性器は単なる器官。そんな器官をジンは上から下へと無造作に撫で上げる。

「やめねーよ、楽しめねーともったいねぇだろ?」

同志として行ったのだろうがそうじゃない。亀頭に当たる。
「やだ、やめろ!やめろ!」

快楽の渦に引き摺り込まれてしまう。引かないのが分かると声を絞り出した。
「やめてください...」
ビュルルと透明に近い粘液が飛び出した。あまり飛んでいないのはイクことすら嫌いだからだ。汚い汚い雄としての器官なんか。嫌いで嫌いで仕方なかった、こいつはバカだから遊んで切り捨てようとした何の慈悲もなかったがその瞬間ジンはピンガという男の中に秘めた女性性に興味を持つ。強烈な嗜虐心が渦巻いていることになど気づかずに。


俺はと言うとこの声をよりにもよって一番嫌いなこの男に聞かれたことにショックを受けていた。

「ジンふざけるな、俺を男なんかにしやがって」
それからジンと作戦行動が一緒になると進んで悪態をつくようになった。周囲は最初こそ何があったんだろうかと気にしていたが仲が悪いと言う噂など広まっていき何か言ってくる者はいなくなった。
その間も、仕事の成果は問題なく出し続けた。ライバル心をむき出しにしていると他の奴らが寄ってきたりして俺は安心した。しかしいざ飲みに行ってみるとみんな俺を嗜めるばかり。



「お前に興味がある」
と言ってジンは帽子を外すと、ピンガが着ていたスーツに手を掛けた。下着だけになったところで、ジンもコートを脱ぎ捨てててアウターとズボンだけになると、帽子を外し、そばに置いた。

やばいと脳内が警報音を鳴らした。
ジンが私の腕を掴み引いてくる。
すぐキスの雨が降りそぞいてきた。そしてランジェリーに手をかけ太腿をこじ開けると、目線を下に移し、近づいていった。
べろぉ、と生暖かい舌が太腿の付け根を這った。驚きに身体が弓形に曲がり高い声が口から溢れる。
恥ずかしくなって顔を逸らしたがもう遅く、ジンは私の様子を伺う、冷たい目がこちらを見つめていた。

撥ねさせるが待ってはくれない。ぶ厚く、熱い、硬い舌でまた舐られ、クロッチ部分に爪を立ててきた。
やばいとなる頃にはもう遅く、パンツを横にスライドさせると、太い指が中を掠めたのがわかる。パンツの上から指を入れようとしていて乾き、ガサついた皮膚が当たる。手を離したときここでようやく自分の意思で立つことができて、ジンに言った。
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