フランボワーズの手紙

□第二章
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そんな押し出すように送ったメールに返事が来たのは、次の日の朝だった。眩しい朝日は今日も登り、それを薄めに見ながら俺はコーヒーを淹れていた。


コーヒーがなくてはしゃっきり目が覚めない自分とおさらばしたいが、この苦さがクセになっている。欠伸とともに食パンを噛み締めていれば、テーブルに置いていた携帯がメールを受信した。



「出会い系か?」とスパムメールだと思った俺は軽い気持ちで携帯を開くも、そこに見えたのは彼女のリンという名前の文字が。思わず目をこすっては何度も確認する。

コーヒーよりも目を覚ます効果のある彼女からのメール。そこには変わらず、「リン」と画面には記されてあった。



内容は手紙が届いたことへの頷きを示す分かったという言葉。そして、その下には手紙を見せて欲しいと付け足されている。俺自身手紙は見せるつもりだったため、今週末の昼間、付き合っていた頃に足繁く通っていたカフェを指定した。



どうしてそのカフェを指定したのかは分からない。ただ、頭の中にパッと浮かんだし、それに知らないお店を指定したところで硬くなるだけである。

まだこのカフェなら、俺は自分らしく話せるのかもしれないと思ったからだ。だが、自分らしく話せない理由とは一体何なのだろう。


固まる身体は緊張からなのか、はたまたもう彼女を他人として接するべきだと思ったからか……。なんにせよ、答えの出ないことを考えていたって時間の無駄のため、食パンの最後の一切れをコーヒーで流し込む。



『――いってらっしゃい』



不意に聞こえた声に振り向いて後ろを見るが、そこには誰も彼女もいなかった。



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