Novel.1

□安全
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毎年この時期になると地域安全運動が行われる。

珍しく暇を持て余していた高木と佐藤は由美に連れられお手伝いをすることになった。

「じゃあ美和子はこれ着て〜高木くんはこれね!」

なんか可愛い着ぐるみを渡され二人はそれに身を包む。

いや……身を包むというより包まれるの方が正しいのではないか。

「小さい子が来たら風船渡してね、あとはこっちがやるから着いてきて」

そう言うと由美は走って交通課の集まりの方へ行く。

「まったく、せっかくこっちは平和に書類整理してたって言うのに〜」

佐藤は軽く愚痴をこぼした。

いつも忙しくなかなか出来ない書類整理が片付く絶好のチャンスだったのだ。

「でもたまにはこう言うのも楽しいですね」

「渉くんは書類が少ないからこんなこと言えるのよ〜」

ごもっともです。と言わんばかりに高木は軽く顔を佐藤から逸らし、着ぐるみの頭を付ける。

思ってた以上に重たい。

「渉くん似合ってる似合ってる」

「美和子さん!棒読みなのバレバレですよ」

そう言いながらも高木は少し嬉しそうだった。

「さーっ、ちゃっちゃと終わらせて帰って書類するわよ!」

そういった佐藤の言葉も虚しく夜の7時まで働く事になった。



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