Novel.1
□雨の憂鬱
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雨の日は憂鬱だ。
特に丁度高木と公休が被った時ほど
憂鬱な日は無い。
「美和子さんどこか出かけますか?」
「んーでも濡れたくないわね…」
こんな会話を何度も繰り返してなん時間が経っただろう。
「もう15時すよ」
「おやつの時間ね」
「そういう意味じゃなくて……」
高木はデートスポットを見ていたであろう携帯を置いた。
「美和子さん…そのゆるゆるな服何ですか……」
モフモフした部屋着に短パン。基本佐藤の部屋着はゆるいものが多い。
「可愛いでしょ、ネコなのよこれ」
何ともまぁ。佐藤の性格に似合った服であろう。
「可愛いんですけど僕の理性が我慢出来ないのでお外へ行きましょう。あと
30分後のバスで出かけます。目的地は水族館です」
「雨の日なのに……」
「雨の日限定のペンギンパレードがあります。さぁ起きて、顔洗ってきてください」
佐藤は渋々準備を始める。
洗面に向かってからの女の準備は長い。
薄化粧の佐藤とはいえ一応女の子だ。身だしなみに気は使うのだろう。
そうしてギリギリなんとかバスに間に合い、水族館へ着いた。
「へぇ……可愛いものね」
ペンギンパレードを見て佐藤はつぶやく。
雨の日のデートもいざ来てみればいいものね。