Novel.1
□鍵
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「渉くん!一緒に帰ろ」
仕事終わり、佐藤は高木を誘う。
今日佐藤は車出勤で高木は徒歩での出勤だ。
「いいんですか?!助かります」
既に時刻は12時前。
終電ダッシュを考えてたとこだった。
この日は厄介な事件のおかげで書類がなかなか完成しておらず、残業時間も凄いことになっていた。
佐藤と高木はそのまま空腹を満たすべくファミレスで夕飯を取り、高木の自宅まで向かった。
「美和子さんありがとうございます、また明日」
「えぇ、泊まってけないのが残念だけどね、また明日」
互いにおやすみなさいと伝え、その日は別れた。
高木は家に入ろうと鍵を探す。
どこに入れたんだろう。
確かズボンのお尻のポケットに入れたはずだ。
それが見つからない。
「鍵なくした……」
朝、佐藤は部署で寝泊まりしている高木を見つけた。
「あれ?高木くん早く着すぎたの?こんな所で寝て」
朝の10時。
今日は二人共張り込みのためゆっくりした出勤時刻だ。
「いえ、せっかく送ってもらったのですが家の鍵を無くしてここに戻ってきました……」
寝ぼけてここが捜査一課と忘れたままそう伝える。
ギラりとした目がこっちを睨む。
やっちまった。
「今日はどうするのよ」
「実家から鍵が送られてくるまで1-2日はここで寝泊まりかネカフェ行きます」
鍵を渡している相手は実家しかおらず、無くした場合の面倒くささは半端ない。
「じゃあ、私んち来ない?お母さんもそろそろ電球変えも溜まってるしまた渉くんに来て欲しいなって言ってたわ、明日と明後日も同じ張り込みと捜査予定だし丁度いいわね」
佐藤はスケジュール帳を確認しながらルンルンとしている。
捜査一課のみんなからの睨んだ顔はすごく痛かった。