Novel.1
□定食
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「焼肉が食べたい」
深夜1時。ようやく報告書も終わり帰路に着こうとした時佐藤がそう呟いた。
「この時間だいたい閉まってますからね。あそこの定食屋さんとかどうですか?」
高木は100mほど先の定食屋を指さした。
「〇〇軒?初めて入るわ」
佐藤は高木と付き合うまでファンクラブの人に連れられてご飯は行くが良い店や喫茶店が多かったらしくこういう店やファミレスはあまり来なかったようだ。
「こういうところって美味しいんですよ。僕なんてたまにおふくろの味を思い出します」
そう言いながら高木は車を止めた。
「それは言い過ぎじゃないの?んで、渉くんのおすすめは?」
「僕のおすすめはチキン南蛮ですかね」
「へぇー。あ、焼肉定食がある」
おすすめを聞きながら佐藤は券売機で焼肉定食を押した。
最初からの食べたいものってなかなか止められないものである。
「渉くん早く、お腹空いちゃった」
そう手招きしてる彼女が可愛くて仕方ない。
高木はチキン南蛮定食を押して佐藤のいる席へ向かう。
「ご飯は食べ放題なんだ」
昼から何も口にしてないふたりにとってご飯食べ放題は嬉しいものである。
今日の捜査の話や日常の話をしてるうちに頼んだものが来た。
「あら!渉くんのも美味しそうね、一口頂戴!」
そう言い佐藤は口を開ける。
彼女の口に一口入れる。
「んーーおいしい!!」
僕にとってこの時間が一番幸せな時間かもしれない。