Novel.1
□涙雨
1ページ/1ページ
涙の数だけ強くなれるよ
アスファルトに咲く花のように
そんな曲を聴いたことがある。
泣き始めた佐藤を慰め始めて早1時間が経とうとしていた。
「美和子さん、怖い夢でも見たんですか」
そう聞いても返事無く泣いてるだけだ。
そう言えば。
今日は11月7日だ。
「美和子さん、僕はどこにも行きませんよ。運も人1倍、いや人2倍程強いです。あなたより長生きもします」
なので、あなたの笑顔を見せてください。
そう伝えると佐藤は涙でパンパンに腫れた瞳を見せる。
顔も真っ赤だ。
「夢でね、渉くんが爆発した」
なんておっかない夢だ。
「でね、私は何も出来なかった」
「大丈夫ですよ、何も出来なくて」
高木は佐藤の頭をポンポンっと撫でた。
「僕はあなたのそばから居なくなりませんから」