Novel.1
□赤い糸
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運命の赤い糸って信じますか。
テレビで歌謡曲を聞いていたら突然高木はそんなことを聞いてきた。
集中していたパソコンから目を離しテレビを見る。
なぜ巡り会うのかを
私たちは何も知らない
なるほど。高木はこの曲を聴いてそんなことを聞いてきたんだろう。
「信じるわよ」
「でもたまに思うんですよね。もし松田刑事が生きていたら僕はあなたとは付き合ってなかったのかも」
確かにそうだ。
佐藤は松田が好きだった。
忘れられないほど大きな存在なのだ。
「僕は今、美和子さんと付き合ってるのは本当に運命なのかなって考える時があります」
珍しく高木にしては弱気だ。
熱でもあるんじゃないかとデコに手を当てる。
平熱だ。
「渉くんさ、私のこと死ぬまで守ってくれるんじゃなかったの?たしかに松田くんのことは好きだった。だけど、松田くんが生きてたら私は好きとは思わなかったと思う」
佐藤はにやりと笑う。
「高木渉巡査部長!死ぬまで私を愛して守りなさい!」
「はっはい!!」
縦の糸はあなた
横の糸は私
織り成す布はいつか誰かを
暖めうるかもしれない
お父さん。
渉くんは私の温もり。
彼がいないと私は凍え死んでしまうかも知れ無い。