Novel.1

□隠したもの
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刑事という仕事柄、隠し事はうまい方。

ある時は自分のことを隠して犯人と接触したり、
ある時は自分のことを隠して身代わりになったりもする。

ただ、一人騙せない人、隠せない人がいる。

高木渉だ。

「美和……佐藤さん!!」

絶賛名前で呼びかけ捜査一課の男達にギロリと睨まれ、半泣きになりつつ高木は近くへやってくる。

「犯人吐きましたよ!凶器の場所も吐きました!今から取りに行きますけど時間ありますか?」

久々に取り調べに入っていた高木は珍しく色々聞けたのであろう。すごく嬉しそうに寄ってくる。

その優しそうな顔をしているせいか取り調べに入っても犯人は黙秘を貫くことが多いのだが。

「えぇ、行くわ」

高木が目の前でブンブンと尻尾を振ってるような錯覚に陥る。

とても可愛い。

「なんで笑ってるんですか〜」

「柴犬みたいだからよ 」

なんてことを言ってみると高木ばぶすっとしながらも嬉しそうだ。
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