Novel.1
□いつもの君と
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「あれ?渉くんメガネしてたっけ?」
なんの特別なこともない日曜日。
ちょうど非番のかぶった高木と佐藤は高木の自宅にてごろごろしていた。
日頃の休みは休みの日に寝転ばなければなかなか取れないものだ。
10:00になったのをきっかけに高木は先に起き、資料作成すべくパソコンに向かった。
明日は大切な会議がある。下手に失敗すると白鳥あたりに笑われるだろう。
「渉くんもう起きるの?」
「えぇ、明日会議があるので資料作ろうかと……」
「じゃぁ私も起きる」
ゴロゴロタイムは早くも終わり佐藤も布団から出てくる。
太ももには昨日の名残の赤い痕が付いていた。
「あーそこじゃ隠れないですね」
高木の視線に佐藤も自分の太ももを見る。
「あっこら!こんな所につけて」
気づかない美和子さんが悪いんですよなんて言うがこれは誰がどう見ても高木が悪い。
きっと彼女がこのまま仕事に行ったら速攻で取調室送りだろう。
「明日は黒ストッキングですね」
「誰のせいよ……薄い色のスーツだから違和感はないけど」
そう言いながら佐藤は高木の頭をべしっと叩いた。
「朝昼兼用のご飯作るわ。何がいい?」
「美和子さんの作ったものならなんでも」
「それが一番困るのよ」
と言いながらも佐藤は冷蔵庫を見て「オムライスね」なんて呟く。
買った覚えがないからきっとオムライスを作る気満々だったんだろうなんて高木はくすっと笑う。
高木はパソコンの横に置いてあった箱からメガネを取り出し、かけた。
「あれ?渉くんメガネしてたっけ?」
佐藤はキッチンからきょとんとした顔をのぞかせる。
「あ、メガネしてる時だけかけてるんですよ」
「へーー。メガネの渉くんもいいわね。いつもの渉くんもいいけどちょっと違っててメガネの渉くんも好きだわ」
そう言ってキッチンへ戻っていく。
「それは反則ですよ……」