光を含む秋桜に手をかざすと
あたたかい

ぽつんと取り残され
ひとり帰った通学路
のように坂道が続く

どこに生きても
ふりかえってしまう
犬をつれたお婆さんは
知っていた人かもしれない
草が生えっぱなしの公園
線路の近くで
カメラを構える少年

似た風景ばかり
通りすぎてきた

庶民の暮らす町の
もっと入り組んだ階層の
さなかへ深く
綴じられてゆくような人生
もう
行き止まりに
ため息などつかない
袋小路の静けさが
魂の定住地だ

ちいさな人生の棲みかは
家々が肩をすくめ
じっと押し黙る界隈にある

廃れそうで廃れない
雨に禿げた表札や
誰からともなく
のらの猫にご飯を与え
灯りのともりかたで
ひとの雰囲気もわかる
時折珍しく
子供の辿々しいピアノが響く

雑草にさいた白くちいさな花を ポケットからだして
牛乳の空き瓶にさす

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