なみだは
奥深くに埋もれた
悲しみの結晶を
しずかにとかして液体にさせる
あくあまりんのさびしさ

空洞になりすぎたまま
あまざらしにされた家のように 私のこころにもう誰も住まない
眼窩のふちを
針で縫われるように
なみだは時々ながれおちるまで 時を要する
おもいでが
没してゆくこともある
ひとに
二度とは会えない屈辱が
なみだを凍らせる

そうしたなみだは
流してしまいたくない
ぜんぶなくなってしまったら
私から感情が抜け落ち
ひとではなくならないか
怖くなる
胸を撃ち抜かれるできごと

だけどなみだは流せず
蓄積されてゆく
血の流れが留まるように
私の感情も
死ぬことがある

なみだが養分になるのなら
たえず流していたい
そうではないのなら
私から目を
くりぬいてしまいたい
笑えないなら口を
もぎとってしまいたい
あふれでて皮膚と内臓をえぐりとるほど
濁流となって
流れてしまえ
終わらない雨季が
夜毎襲うから
肉体は水源となって
肥沃な悲しみばかりが潤ってゆく

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