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□一悶着
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「杏樹ちゃんはどうして髪とお目々がみんなと違うの?」
「それはね、お父さんのほうのおじいちゃんがフランス人だからだよー。」

そうそう私の容姿について言ってなかったですね。美系の両親から生まれてきたから、自分の顔面偏差値は高いほうだとは思う。それにお父さん譲りの金髪碧眼で私は気に入っている。…のだけど。

「痛っ!」
「お前だけ髪と目の色違うー。変なのー。お前だけ仲間ハズレー。」

今日の幼稚園も終わりって時に組が一緒の男の子に髪を引っ張られ、そう言われた。ついにきたかー。一也くんがいじめられないか心配とか言ってたけど、自分もその可能性があることには気づいてはいたのだ。こういうのは早めに芽を摘んで方がいいだろうと、口を開きかけた時、

「変じゃない!」

一也くんが私が来ないからか、こちらの組まで来てしまった。

「杏樹ちゃんの髪と目はお父さん譲りなんだ!ここにいないだけで、世界には杏樹ちゃんと同じ色の人いるもん!お前、杏樹ちゃんにかまって欲しくてそんなこと言ってるんだろ!」

一也くんのその言葉に何も言い返せない男の子。でも私も言われっぱなしでは終われない。

「私はこの髪と目の色が大好きなの。誇りに思ってる。だからあなたにそんなこと言われる筋合いはないわ。女の子の髪引っ張っちゃダメだよ。わかった?」
「……うん。」

ちょっと言い過ぎたかな?というか幼稚園児に筋合いって言葉は難しかったかな?でも私が怒ってるのは伝わったみたいで、男の子は涙を浮かべながら頷いた。

それにしても一也くんが私を庇ってくれるなんて。一也くんの成長に私は感動です。

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