本棚 2
□愛故に 2
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「かーりゅさまー!」
向こうの方からソフィアがやってくるのが見えた。
「やあ、ソフィア。」
「ごきげんよう!」
「うん。よく挨拶できたね。えらいえらい。」
私は、ソフィアの髪が乱れない程度に撫でた。
「かーりゅさま、いそがしい?」
「うん?今は大丈夫だよ。」
ソフィアが訪ねてくると事前に知らせがきていたため、時間は確保してあるのだ。
「あのね。おにわいっしょにおさんぽしたいの!」
「本当にソフィアはあの庭が好きだね。」
「うん!いこう!」
そう言ってソフィアは私の手を握り、庭の方へと歩き始めた。
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「きれぇだねー!こっちはかわいいー!」
「そうだね。そんなにお気に召したなら持って帰れるように包むかい?」
「だめだよ!」
「え?あー。切りとってしまうと薔薇が可愛そうだったね。」
「そうだよー。ばらさんはきっちゃうとすぐかれちゃうから、きっちゃだめ!」
「わかってるよ、ソフィア。今度は向こうに行こうか。」
「うん!」
そしてまたソフィアは薔薇を愛で始める。そんなソフィアを見て、私は楽しむ。
こんな何気ない時が愛しかった。