本棚 2

□愛故に 5
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「うん!シュウ君その服似合うね!良かったー。青と迷ったけど、今回は黄色にしてみたんだ!」
「ほらシュウ、ありがとうは?」
「あーと!」
「どういたしまして!」

恒例のお茶会前にシュウの所へ行くという習慣できつつあった。先日シュウのベビー服を作ってもいいかと聞かれ、私はそれを承諾したためソフィアはシュウのベビー服を作ってきたのだ。ソフィアとの子が生まれた時にきっとこの経験が役にたつだろうという、そんな思いからだ。それよりも…。

「あーぅ!」
「うーん?どうしたの?」
「うー。あう。」
「抱っこ?うん!おいでー。」
「あぅあ!」

シュウ。私のソフィアに懐きすぎではないか?それにソフィア、シュウに構いすぎではないか?

「ソフィア。そろそろ庭園に行こう。」
「あーあ!」
「もう少しだめ?」
「もう行くよ。」

私はそう言ってシュウを乳母に渡し、ソフィアの手を引いて部屋を出た。限界だった。シュウだけではなく、私にも構って欲しかったのだ。

:
庭園に着き、椅子に腰を下ろした。

「ソフィア。今日は何を作ってくれたのかな?」
「今日はね、苺のババロア!執事さん、持ってきてくれましたか?」
「はい。お預かりしていた品は持ってまいりました。」
「ありがとうございます!カール様召し上がれ!」
「うん。甘酸っぱくて美味しいよ。」
「本当!良かったー。」
「最近のソフィアのことを教えてくれるかい?」
「最近?うーん。あ、今ね薔薇の造花を作ってるの!」
「造花かい?」
「そう!部屋に薔薇飾りたくて…でも切ってしまうと枯れやすいから、偽物を作ってるの!今度持ってくるね!」
「楽しみにしてるよ。」
「カール様は最近何してるの?」
「私は…」

その後はたわいもない話をして、お茶会は終わった。こんな日がずっと続く。そう思っていた。
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