薄桜鬼『桜恋録』1

□No.8
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いつの間に私のホールドから逃れたのだろうか。

土方さんは、私に覆い被さるような体勢になっていた。



か、顔が、近いっ!!!


え、いきなりの土方さんルート!?

こんなにエロティックだったっけ!?!?

エロは土方さんじゃなくて左之さんの担当でしょう!?




名前「ひ、土方さん。そんな綺麗な顔で迫らないでください、なんか変な気分になります……」


土方「……夜中……男の部屋に来た挙句、おまけに抱きつきやがって……何事も無く帰れると思うなよ?」


名前「……はひ?」




少しでもどちらかが動けば、触れてしまいそうな顔の距離。


……ようやく、土方さんの言葉の意味がわかった。




名前「〜〜〜〜っ!!!!(ボフンッ」




これ以上ないほど顔に熱が籠る。




土方「……顔真っ赤じゃねぇか」


名前「ううう、うるさいです!
わ、ちょっと、あぶなっ……動かないでください、いろいろ危ないです!!」




……と、その時。


土方さんが、フ、と笑った。




名前「……うぇ?」




わ、笑った……。

土方さんが笑った!?!?




土方「……心配しなくても、お前みたいな色気も何もねぇガキに手ェ出すほど飢えちゃいねえよ」




そう言って土方さんは私の上から避け、先程と同じように背を向けて横になった。


……何だったんだ、今のは。




名前「……何ですか、さり気なく女には困らないモテ男自慢ですか!?」


土方「うるせぇさっさと寝ろ」


名前「ねぇ、なんかさっきから変ですよ!もしかして酔ってる?酔ってますよね絶対!?なんか部屋酒臭いもん!」


土方「うるせぇ斬る!!!」


名前「んな理不尽な!ってぎゃあああああああああ!?」





……結局寝不足になり、次の日の斎藤さんとの稽古でボコボコにされました。










(名前、どうしたの?その隈…)


(いやちょっと、昨日いろいろあって……それより千鶴、酔っ払った土方さんに近づいたらダメだからね!あの人ムッツリスケベだからね!)


(むっつりすけべ……???)


(私は決めたぞ、ただ今より『千鶴を守り隊』を結成する!あんなスケベの手に千鶴は渡さん!!)


(ええ!?)


(……何の話だァ?苗字……)


(ぎゃああああああああっ!!!!!!)
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