薄桜鬼『桜恋録』1

□No.9
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──── 夕餉時。



今日は斎藤さんだけいないみたい。

隊士募集のためとかで遠くに出かけているらしい。


残念だなあ、斎藤さんにも私の作ったお味噌汁飲んでほしかったのに……。


私はみんなの様子を見ながら、今か今かとその時を待つ。

やべぇめっちゃそわそわする!



……そしてついに、その時がきた。




近藤「……む、今日の味噌汁はいつにも増して美味いな!」


永倉「おお、そうだな!美味え!」


藤堂「今日の炊事は左之さん……だったよな?」


沖田「へえ、左之さん料理上手なんですね」




うおおおおおお褒められたあああああああああ!!!!

みんな左之さんが作ったって思ってるみたいだけど!




名前「ぐふふふふふふふふ」


藤堂「ど、どうしたんだよ名前……」


沖田「気持ち悪いなぁ、その笑い方やめてくれない?」




なんかみんなめっちゃ酷いけど今日は気にしねぇ!

だって!!嬉しいもん!!顔に出ちゃうもん!!


すると、隣に座ってた左之さんがみんなの様子を見て小さく口角を上げて笑った。




原田「今日の味噌汁はなぁ、俺じゃねぇんだよ」




な、名前?と言って左之さんは私の頭をポンポンする。




名前「ぐふふふふ。そのお味噌汁作ったの私でーす!!」



「「「「「「「え( ˙-˙ )」」」」」」」



名前「ちょっと何ですかその反応は!!」




おいお前ら顔に出てんぞ!!

「嘘だろ」って顔に書いてあんぞ!!!


だけどその後、天使が降臨した。




千鶴「名前!料理上手なんだね、すごく美味しい!」


名前「ありがとう千鶴可愛いよ千鶴、君のためならいつでも人肌脱ぐぜ」




ああ何ていい子なんだ千鶴は!

みんなもこの子を見習ってほしいよ!!




沖田「……へぇ、名前ちゃんが作ったのこれ」


名前「うんそうだよ!(褒めて褒めて)」


沖田「ふうん。……まあ、いいんじゃない」


名前「ツンデレ!?デレ期!?」


沖田「斬るよ?」


名前「ごめんなさい」




あれおかしいな、ツンデレとか絶対沖田さんが知らない言葉のはずなのに。




沖田「わからないけど絶対馬鹿にされてるような気がしたから」


名前「沖田さん怖い」




何なのこの人、私の心の中読めるの!?




永倉「へぇ!これ名前ちゃんが作ったのか!うめぇじゃねえか!」


藤堂「そうそう!一君のとは違った美味さ!」


名前「お前ら好き」




……何だかんだで、この人たちはホントにいい人達だ。


土方さんも聞こえてたからね、ボソッと「うめぇ」って呟いてたの知ってるからね!



それに、左之さんも何故かすごくニコニコしててなんか一番嬉しそうだった。

絶対先生の才能あるね左之さん!








(あ、そう言えば左之さんさっき思ひ人がどうとか言ってたんじゃなかったっけか……。何だったんだ……?)



(……一体何を聞こうとしてんだ俺は……)
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