薄桜鬼『桜恋録』1

□No.10
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〜 回想 〜




斎藤「 ──── 今日はここまでだ」


名前「……徳川家光 参勤交代……」


斎藤「……苗字、そろそろ部屋に戻れ」


名前「……徳川家綱、生類憐みの令……」


斎藤「……部屋まで送る。苗字、行くぞ」


名前「慶長8年徳川家康が征夷大将軍に任命され江戸幕府を樹立。武家諸法度制定。禁中並公家諸法度など ……」



〜 回想終了 〜





あれかーーーーーい!!!


いや確かに斎藤さんに腕掴まれて部屋まで連れて行かれたけども!!

忘れないように徳川歴代将軍とかその他諸々唱えてたけども!!




名前「ち、違うよっ!斎藤さんは私を部屋まで送ってくれただけで!」


永倉「名前ちゃんが……斎藤と……」


藤堂「嘘だろ……名前……一くん……」


名前「いや違うって!何で信じてるのそこ2人!!」




私としてはそんなヒャッホイなことあったらめちゃくちゃ嬉しいけどさ!?

むしろそういうのはバッチコーイって感じだけどさ!?


さすがに斎藤さんに申し訳ないからやめて、マジで違うから!!!!




沖田「じゃあ何で一君は名前ちゃんの部屋から出てこなかったの?」


名前「いや知らないよそんなの!そもそも私が起きた時にいたのは斎藤さんじゃなくて平助だったよ⁉ 斎藤さんに聞いてよ!」




私の言葉で、全員の視線が斎藤さんに集まる。

斎藤さんは再び静かに箸を置いた。


そして、




斎藤「……あの後、苗字が俺の着物を掴んだまま寝てしまった故、早朝に戻った」


名前「すんませんでしたーーーーーっ!!」




みんなが「何だ」、といった表情をする中、私はスライディング土下座をかました。

まさか、そんなことがあったとは。





……その後、土方さんに「うるせぇお前ら!静かに食いやがれ!!」とみんなが一喝されたのは、また別の話。










(……………)


(…?どうした左之、元気ねえじゃねえか)


(…ん?ああ、いや、何でもねえ。)


(そうか?)


(……ああ。何でもねえんだ、何でも。)
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