薄桜鬼『桜恋録』1

□No.19 @
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名前の手から無理矢理刀をもぎ取り、名前を抱きしめる。

腕の中でガタガタと震える、小さな体。




名前「………さの、さ………」


原田「………名前、」


名前「……よかった………無事、で……」




そう言って笑う名前は、今にも消えてしまいそうな程に弱々しい。



──── 俺は一体、何をやっているんだ。



何が、Wみっともねえ姿は見せられねえWだ。

こんなに小さくて綺麗な手を、体を、血で染めてしまった。

俺は、男としても幹部としても失格じゃねえか。


名前を抱きしめる腕により一層力を込めた、その時。




「 ──── こ、こっちです!」


?「 ──── 左之」




聞き慣れた声が耳に入る。

目の前には、浅葱色の隊服。




原田「………斎藤…………」




どうやら巡察で斎藤の隊が偶然近くを通りかかったらしい。

恐らく名前に任せていた男が、助けを求めたのだろう。


俺の腕の中にいる血で染った名前を見て、斎藤は一瞬目を見開いた。




斎藤「………何があった」




その問いかけに答えるように、俺は強く歯を食いしばるのだった……。
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