ヒロアカ『Anemone』

□No.14
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──── 次の日、リカバリーガールの言う通り学校は臨時休校となった。


そして、私の家には警察の方が二人訪れていた。

主に死柄木との接点についての事情聴取である。


訪れた警官二人のうちの一人、塚内直正さんはオールマイトと仲がいいという。

共通の知り合いがいるということで、私の緊張は少しだけ解れていた。




塚内「 ──── なるほど。つまり君は死柄木弔に傘を貸しただけなんだね?」


名前「はい、そうです。数ヶ月前のことで、私もまだ折寺中に通っていた頃のことです。軽く言葉を交わしただけなので知り合いと呼べるほどではないのですが……」


塚内「うむ、なるほど……」




私の話を聞きながらペンを走らせる塚内さん。

書き終えたのか、パタンと手帳を閉じた。




塚内「……しかし妙だね。オールマイトから聞いた話だと、死柄木弔は君に執着するような発言をしていたと聞いたが……」


名前「……はい。私の目がどうとか言っていて、それで……こっちに来いと、誘われました」


塚内「うむ……」




どうして狙われるのかわからない。

おまけにこれは自分で蒔いた種で、完全に自業自得なのだ。




W死柄木「見て見ぬふりが出来ないお前はきっとそのうち後悔する。悪意にすら、気付かず手を差し伸べてしまうから」 W




奇しくも彼の言葉は現実となったのである。

己の浅はかさを恨んだ。


すると、ぽんと大きな手が肩に乗った。




塚内「その顔は、責任を感じている顔だね。だが君が自分を追い詰める必要はないよ」




まるで心の中を見透かされたようで、私は驚いて顔をあげた。




塚内「傘を渡したのは君の善意なんだろう?困っている人に手を差し伸べるのは素晴らしいことだ。中学生だったのなら尚更だ、世の中にはそういう事ができない人が沢山いるからね」


名前「……っ、」


塚内「今回はたまたま運が悪かっただけだ。それにもし君が狙われていなくとも、元々オールマイトを狙いに奴らは襲撃に来たはずだ。君が負い目を感じることはないんだよ」


名前「……すみません」




塚内さんの言葉はありがたかった。

だけどどうしても、あの時の行動は悔いてしまう。

それに何より勝己の事もあり、正直今は頭の中がごちゃごちゃになっていて何も考えられない。




塚内「……すまないね。君も混乱しているだろうに、無理に押しかけてしまった」


名前「い、いえ、そんな!私の方こそ、本当に申し訳ございませんでした」


塚内「そんなに頭を下げなくても大丈夫だよ。むしろ君の協力に感謝している。我々も全力を尽くして捜査を進めるよ」


名前「……ありがとう、ございます……」




本当に、頭が上がらない。


私は塚内さん達に深々と頭を下げるのだった……。
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