薄桜鬼『桜恋録』1

□No.4
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原田「……でもよ斎藤、こいつこんな細っこくてすぐ折れちまいそうだし、刀で接近戦よりだったら弓で遠距離戦の方がいいんじゃねえのか?」


名前「失礼だな折れそうだなんて」




すると斎藤さんは静かに口を開く。




斎藤「……その点においては俺も同意だ」


名前「同意された」


斎藤「……しかし、京の町で弓というのは使いにくいのではないか?いつ不逞浪士に取り囲まれてもおかしくはない状況にある。そのような場合、弓では使い勝手が悪いだろう。
……それに加え、今は鉄砲というものが存在している。遠距離戦ならそちらの方が有利だろう」




な、なるほど……。

さすが頭の良い人は違うね。




藤堂「でもよー、鉄砲なんてそんな高価なモンねぇしなぁー」


名前「ですよね……」




やっぱり地道に特訓するしかないか……。


溜息を吐いて、木刀を握り直した時だった。




?「 ──── でしたら、苦無はどうでしょう」


名前「うわあっ!?」




突然背後から聞こえてきた声に、私は思わず飛び上がった。

そこに居たのは、




名前「やっ、山崎さん!びっくりした!」


山崎「それは失礼いたしました」


藤堂「そりゃ、名前如きに気付かれてたら監察方なんてやってらんないって!」


名前「如きって何、如きって」


斎藤「……先程、苦無がどうとか言っていたな」




斎藤さんの言葉に山崎さんは、はい、と頷いた。




山崎「苗字さんは弓道をやっていたのでしょう?ならば命中率はそれなりのものだと思います。苦無ならば小さくても相手にそれなりの深手を負わせられますし、遠距離戦にも向いているでしょう。それに、持ち運ぶのにも便利かと」


原田「……なるほどな」




く、苦無……!

苦無ってあれだよね、忍者が投げてるやつ!




名前「なんかすっごいかっこいいですね、くノ一みたいで!私それやってみたいです!」




私はぴょんぴょん飛び跳ねながら言った。




沖田「……こういう時、単純な子っていいよね」




……沖田さんが何か言ったような気がしたけど気にしない。


……あ、そういえば、




名前「斎藤さんはどう思います?苦無」




私は一応師匠(?)である斎藤さんに尋ねた。


……もし、反対されたら素直に剣の道を進もう。




斎藤「……良いのではないか?」


名前「……えっ、ホントに!?」


斎藤「ああ、山崎の意見には同意できる。弓よりも使い勝手が良いだろうし、一番手早く身に付けられる護身術だろう」


名前「よっしゃ!決まり!」
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