薄桜鬼『桜恋録』1

□No.17
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……私と君菊さんが来てから1時間弱。




藤堂「Zzz………Zzz……」


永倉「ゴー……ゴー……」


名前「いや早すぎだろーが!!!!!」




平助と新八っつぁんが撃沈した。

いつも私の部屋でガバガバ飲んでる2人とはまるで別人のようだ。


まだお銚子3杯も開けていないのに、もう2人には酔いが回ってきたらしい。




名前「え、何なのこの人たち。島原じゃこんなに早く潰れるの? どんだけ女に弱いの?」


原田「いや……いつもならもうひと騒ぎしているんだが……」




左之さんも苦笑いして、気持ちよさそうに眠る2人を見ている。




原田「お前の女の格好が見れて、嬉しかったんだろうよ。此奴らはお前のこと、妹みてえに可愛がってるからな」


名前「……そ、そうなんだ……」




私も左之さんにつられて苦笑いする。

すると、君菊さんがスッと立ち上がった。




君菊「お銚子が空になりましたのでおかわりをお持ちしますえ」


原田「ああ、すまねぇな」


名前「え…?」




あれ、お銚子ならまだここに……。




名前「あの君菊さん、お銚子ならまだありますけど……」




すると君菊さんは私に近づいてきて、こっそりと耳打ちをした。




君菊「……おきばりやす」


名前「……え、何を!? ねぇ何を!?」




君菊さんはニコリと微笑んだだけで、そのまま部屋から出て行ってしまった。


ええ……どゆことこれ……。

この部屋には私と左之さんと、酔いつぶれた平助と新八っつぁん。

実質、左之さんと2人きりだ。


……ん? ってことは……。


バチリ、と左之さんと目が合う。


……ま、まさか。




名前「……君菊さああああああん!?!?違います誤解です戻ってきてくださあああああああああああい!!?」




慌てて襖を開けて大声で呼んだけど、もう遅かった。

君菊さんの姿はもうどこにもない。


やべーよ絶対何か勘違いさせたよ!!

何でかわからないけどそういう仲だって思われてる感じだよこれ!!
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