薄桜鬼『桜恋録』1
□No.10
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斎藤「 ────副長。斎藤ですが、少々よろしいですか」
土方「お、おう。斎藤か、入れ」
斎藤さんが入ってきたため、私と土方さんの会話は中断された。
なにやらよくわからん話をしていたが、話を終えた土方さんが「そうだ、」と呟く。
彼の視線は、私の方へ。
……なんか、嫌な予感がする。
土方「なぁ斎藤。お前の仕事を増やすようで悪いが、此奴に読み書きを教えてやってくれねえか」
名前「え"」
斎藤「……俺が、ですか」
土方「なんでも、読み書きを教えてもらえる環境に無かったらしくてな。負担を増やすようで悪いんだが、お前は此奴に稽古も付けてやってるわけだし、適任かと思ってな」
斎藤「……なるほど」
まてまてまてまて。
や、やだよ私、せっかく薄桜鬼の世界に来たのに勉強なんて。
実は私、あまり勉強ができない。
できないっていうか、好きじゃない。
唯一歴史は好きだけど、教科書に乗ってるような綺麗事は全く好きじゃない。
私が好きなのは当時の生活の様子とかゴシップとかミステリーとか、そういうやつだ。
こっちに来てまで勉強なんざ真っ平御免だ。
名前「いっ……いやいやいやいや!斎藤さんのお手を煩わせるわけにはいきませんし!」
斎藤「空いている時間で良いのなら俺は構いませんが」
名前「いやでもっ、斎藤さんも疲れてるだろうし!」
斎藤「苗字、遠慮することはない。あんたに読み書きを教える時間くらいある」
土方「おおそうか、よかったじゃねえか苗字。すまんな斎藤、読み書きついでに此奴に武士のいろはも叩き込んでやってくれねえか」
斎藤「承知致しました」
名前「えええええええ!!!」