薄桜鬼『桜恋録』1

□No.12 A
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名前「う、ひっく………さ、の、さん……」


原田「ん?どうした?」




名前「……見つけてくれて、ありがとう……」




名前の顔を見れば、名前は泣き腫らした顔でふわりと笑う。

その笑顔を見た瞬間、ドクリと心臓が飛び跳ねた。


──── そして名前は、フッ…と力が抜けたように俺の胸に倒れ込んだ。




原田「……っ!?名前?おい、名前!!大丈夫か!?」




俺は焦って、ぐったりとした名前の体を揺さぶる。


……すると、




名前「……Zzz……Zzz……」


原田「……………は?」




……寝てる……のか?




原田「なんだよ……はぁ……」




心配させやがって、全く……。


きっと、安心したせいで一気に疲労が襲ってきたのだろう。

当然っちゃあ当然だ。



そして俺は名前を抱きかかえて蔵を出た……。












千鶴「────っ!!名前っ、原田さん!!」




名前の部屋まで行くと、千鶴が待っていた。

あれだけの騒ぎを起こしたのだ、恐らく部屋に戻るように言われていたのだろう。


俺に抱きかかえられてぐったりとしている名前を見て、千鶴はサッと青ざめた。




原田「大丈夫だ、眠っているだけだ。悪いが千鶴、名前の布団を敷いてやってくれねえか」


千鶴「はい!」




千鶴が大慌てで敷いた布団に、俺は名前を寝かせる。

その後千鶴は水と包帯を取ってくると言って部屋を出て行った。



部屋に残された俺は、グーグーと眠る名前を見る。


……こんなに軽かったんだな、お前は。



ふと俺は、懐に入れていた金平糖の存在を思い出し、それを名前の枕元に置いた。


そして名前の頭を撫でながら、ようやく一息ついたのだった……。
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