薄桜鬼『桜恋録』1

□No.14 @
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名前「 ──── ふう。……大丈夫?」




5分ほど走り続けて私は立ち止まり、女の子の方を振り返る。

あの男が追ってくる気配はないから大丈夫だろう。




?「ええ。どうもありがとう、助けてくれて」


名前「ううん。はい、これ」


?「あっ!ありがとう」




巾着袋を渡せばふわりと微笑んでくれる女の子。

可愛い!!!


………てかちょっと待って、この子って絶対、




千姫「私、千っていうの。あなたは?」


名前「千姫!?!?」




やっぱり!!? だよね!!?

めっちゃ似てると思った!!




千姫「……あら、私のことを知っているの?」


名前「え"」




少しだけ千姫が眉を顰めたのがわかった。


やばいやばいやらかした!!!

なんでまた同じような失敗するんだよ私は!!!




名前「あっ、いやっ………そ、そうそう!千鶴!千鶴からよく君の話を聞いてて!」


千姫「あら、あなた千鶴ちゃんの知り合いなの!?」


名前「そ、そうそう!実はわた……じゃなかった、俺も訳あって新選組の屯所に居候中なんだ」




あっぶねーーーー!!!!

ごまかせた、助かった!!!

今日ほど口が回る自分に生まれたことを感謝した日はないだろう。


千姫は「そうだったの!」と言って私の手を握ると、目をキラキラと輝かせた。




千姫「千鶴ちゃんは元気?」


名前「うん!元気元気!」


千姫「そう、よかったわ!今度会いに行こうかしら」


名前「うんうん、おいでよ!きっと千鶴も喜ぶよ!」




そう言いながら、内心ホッと息をつく。





千姫「ところで、あなたのお名前聞いてもいいかしら」


名前「あ、俺は苗字名前だよ。よろしくね」


千姫「名前ちゃんね、よろしくね」


名前「うん!……って、ん?」




名前WちゃんW?

やっべ、返事しちゃった!!!




千姫「……あっ、ごめんなさい!もしかしてあなたも内緒にしているの…?」


名前「あ、はは……一応これでも男装中……」


千姫「やだ、ごめんなさいね」


名前「いいよいいよ!屯所でもそう呼ぶ人もいるし」


千姫「そう?じゃあ、名前ちゃんって呼ぶわね、その方がしっくりくるし」


名前「うん!」




やっぱり私の男装もわかりやすいのかな?

まあ、男と女じゃ元の顔立ちが結構違うからなぁ……。



てか、千姫めっちゃ可愛い。

千鶴みたいなやまとなでしこも好きだけど、千姫みたいなおてんば女の子も好きだわ。
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