薄桜鬼『桜恋録』1

□No.16
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襟巻き探しの旅でまず初めに会ったのは沖田さん。




名前「あ、沖田さん!」


沖田「名前ちゃんじゃない、また土方さんの所に怒られに行くの?」


名前「今日は違いますぅー。ね、何か白い布持ってない?長めのやつ!」


沖田「白い布……?」




沖田さんは少し考え込むと、何かを閃いたような顔になった。




沖田「あるよ」


名前「え、本当に!?」


沖田「僕の部屋においでよ」


名前「やった、ありがとう!」




まさか一発目からビンゴとは!

今日はツイてるね!



…………と、思ったんだけど。





名前「ぎぃぃいぃやああああああっっっ!!!???」





数分後、屯所中に私の悲鳴が響いた。




沖田「ちょっと、うるさいんだけど。何?」


名前「何?じゃないよ!!な、な、なんで着物脱いでっ、!?」




あろうことか、沖田さんは部屋に入った途端いきなり着物を脱ぎ出したのだ。

目の前には、沖田さんの引き締まった上半身が……。


悲鳴を上げたおかげで、ギリギリ上半身だけでストップできた。




名前「って、股引に手をかけるな!それ以上脱ぐな!!」


沖田「白い布が欲しいって言ったのは名前ちゃんじゃない」


名前「だからってなんで脱ぐの!?」




何このサービスショット!?

嬉しいか嬉しくないかと言われたら嬉しいけども、さすがに刺激が強すぎる!!!

私にはまだ早い!!!




沖田「まだわからないの?長い布って言ったら褌しかないってこと」


名前「だったらそれを口で言え!!!」




顔を真っ赤にして怒鳴る私を見て、沖田さんはケラケラと笑い出した。

くっっっそ、笑うとめちゃくちゃかっこいいのが腹立つ!!!




沖田「だって名前ちゃん、こういうの好きでしょ?期待した?」


名前「なんでだよ!!」




こいつ、私を何だと思ってんだ!!

変態みたいに言いやがって!!!(あながち間違いではないけども)




名前「千鶴だったらこんなことしないくせに!!」


沖田「千鶴ちゃんは女の子だからね」


名前「私が女じゃないってかコノヤロー」




マジで最低だこの男、こんな純情な乙女になんてことするんだ!!




沖田「あれ、どこ行くの?」


名前「布探しに行くの!あんたに期待した私が馬鹿だったわ!!」




私は吐き捨てるようにそう言って部屋を出る。

すると何故か沖田さんもついてきた。




名前「………なに」


沖田「そんなに怒らないでよ。面白そうだから僕も手伝ってあげようと思って」


名前「あんたへの信頼はさっきので全て消え失せてるわ」


沖田「えー残念だなぁ、せっかく近藤さんに聞いてあげようと思ったのに」




……ピクリ、とその言葉に反応した。

何だかんだで私は、目的のために手段を選ばない人間らしい。
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