薄桜鬼『桜恋録』1

□No.19 @
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名前「………………」


原田「………………」




左之さんに誘われて、団子屋にやってきた私。


だが、私たちの間には沈黙が流れていた。

やっぱりあんなことがあった後だし、いざ2人きりになると気まずい空気が流れてしまって……



……いるかというと、実はそうではなく。




名前「(ムシャムシャムシャムシャモグモグモグモグ)」


原田「………(苦笑)」




私がものすごい勢いで団子を食べているので物理的に会話ができないのである。

次から次へと私の口の中に姿を消していく団子達を見て、左之さんは苦笑いしていた。




原田「……そんなに急いで食わなくても、団子は逃げねぇぞ?」


名前「だって全部出来たてのまま食べたいんだもん(モグモグモグモグ)」


原田「まぁ、それはわからなくはねぇけどよ……」




物の見事に10分程度で9本の団子を完食した私。

団子屋の娘さんも、私の早食いっぷりを見て目をまん丸にしていた



いやー、やっぱり江戸時代の団子は違うわ!

出来たてでめちゃくちゃ美味しい!




名前「江戸時代のお団子最高」


原田「未来じゃ団子屋はねぇのか?」


名前「うーん、あんまり主流ではないかなぁ」




和菓子最高、万歳。

さすがの私も団子を9本も食べたらお腹いっぱいになったわ。

私、左之さんの3倍食べてる。




名前「あー美味しかった!ごちそうさまでした」


原田「……すげぇ勢いだったな」




団子屋の娘さんにお礼を言って店を出れば、笑いを含んだ声で左之さんがそう言った。




名前「甘味は食べられる時にいっぱい食べておかないと!」




そう言ってニカッと笑えば、左之さんも優しげな表情になる。


……あー、かっこいいなもう。




原田「……どうだ、散歩でもしてから帰らねぇか?」


名前「うん!散歩する!」




左之さんに誘われたら何処へでもついて行っちゃう私は、なかなか重症かもしれない。
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