ヒロアカ『Anemone』
□No.8
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──── 雄英に入学して、3日目の朝。
名前「……ん?なにあれ」
爆豪「あ?」
いつもの様に勝己と登校していると、校門の前に人集りが出来ていた。
生徒ではないらしく、全員スーツを着ている。
よく見たらカメラなどの大きな機材を持っている人が多数。
名前「あれ、マスコミかな」
よく考えてみれば、オールマイトがこの学校に勤務しているのだ。
マスコミが駆けつける理由にはなるはず。
勝己を見上げれば面倒くさそうに舌打ちをされた。
爆豪「……突っ切るぞ」
名前「え?ちょ、うわっ!!」
急に右手首を掴まれたかと思うと、今までよりもハイペースでズンズンと進んでいく勝己。
その勢いにつんのめりそうになりながらも、なんとか勝己のスピードについて行く。
名前「ちょ、勝己!速いって、待って!」
爆豪「てめぇが遅せぇんだよ合わせろや!」
私を引っ張りながら、ズカズカとマスコミの間をすり抜けていく勝己。
いつもと歩幅も違えばスピードも違う。
もしかして、いつも私のスピードに合わせて歩いてくれていたの……?
気付いてしまったその事実に驚いて、前を歩く彼の背中を見つめていた時だった。
「ちょっと、君!」
名前「ぎゃっ!!」
ぐいっと左手を掴まれた。
び、びっくりした!
驚いて立ち止まり振り返れば、私の腕を掴んでいるのはマイクを持った男の人。
そして即座に多数の方向から数本のマイクを向けられる。
な、なになに!!?
「オールマイトの授業はどんな感じですか!?」
「教師オールマイトについてどう思ってます!?」
「平和の象徴が教壇に立っている様子をお聞かせください!!」
名前「えっ、あっ、えっ……!?」
いきなり質問攻めにされ、カメラやマイクを向けられて。
その威圧感に頭が真っ白になった。
どうすれば良いのかわからず、声も出なくて口をパクパクさせる。
──── その時だった。
パンッと、私の左手を掴んでいたマスコミの人の手が振り払われる。
そして、
爆豪「コイツに触んじゃねえ!!!」
名前「っ!?」
ぐいっと勝己に右手を引っ張られる。
そして気付けば、頬に当たるのは制服越しの勝己の胸板。
まるで彼に片腕で抱き締められているような格好だ。
私の体を守るように回された逞しい左腕に、ドキリと心臓が跳ねた。
爆豪「おい、行くぞアホ!!」
名前「う、うん……」
わけも分からないまま勝己に引きずられるようにして歩く。
その間にも、マスコミの人達はしつこくついてきた。