Free! 男主
□No.3
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凛「お前…どういうつもりだ」
それから何事もなく練習が終わったかと思えば、夏輝は凛に外に呼び出された。
凛「"マネージャー"だと?
…ふざけんじゃねぇ、何で泳いでねぇんだ」
夏輝は何も言わず、ただ黙って俯いていた。
そんな態度が、余計に凛を腹立たせる。
凛「…ナツ。
お前…あの時言ったよな」
" ーーー 次は、必ず勝つ。
だから、次会う時まで待ってろ "
凛「まさか、忘れたなんて言わねぇよな」
夏輝「…忘れてねェ」
凛「…俺は、お前とまた勝負するために戻ってきたんだよ。
お前とは、ハルとは違った勝負ができる。
…なのにテメェは、一体何考えて!」
夏輝「お前に関係ないだろ!?」
叫びにも近い、夏輝の怒鳴り声。
初めて見る夏輝のその様子に、凛は思わず息を飲む。
夏輝自身も、自分が放った言葉に驚いていた。
ーーー 何で俺は、こんなことを言ったんだ?
凛が、凛じゃないからか…?
凛「…関係ねェ、だと?」
だがこの言葉は、凛に火をつけさせるだけだった。
凛「関係ねェわけねェだろ!!」
凛がズカズカと歩み寄り、夏輝の胸ぐらをつかむ。
夏輝「ちがっ…違うんだ、凛!
俺は、俺はもう、」
凛「うるせぇ! 何が違うんだよ!!」
夏輝「うわっ…!」
ド ン ッ
鈍い音と共に、夏輝は背中を壁に叩きつけられた。
凛「お前はっ!!
お前は、俺がどんな…っ!?」
そこまで言って、凛は言葉を切った。
夏輝の様子がおかしいことに気付いたのである。
夏輝「…い"っ……てぇ……」
尋常ではない痛がり方。
額には、玉のような汗が伝っている。
凛は、ハッと息を飲んだ。
凛「…ナツ……お前まさか、」
と、その時。
?「松岡」
その場に知らない声が響いた。
凛「……朝比奈」
?「…似鳥が探している」
凛「チッ…わーったよ」
凛はそう言って夏輝から手を離し、その場を去って行った。
手を離された夏輝は、ズルズルと壁をつたって崩れ落ちる。
夏輝「…はぁっ…はぁっ…」
項垂れて、必死に痛みに耐えていた。
ーーー やっぱり、リハビリもせず4年じゃ完治してねぇか…
?「ーーー 大丈夫か?」
先程 "朝比奈" と呼ばれた人物が近づいてくるのがわかった。
?「…これ、使っていいぞ」
と、差し出されたのはタオル。
おそらく、ひどく汗をかいているからだろう。
夏輝「…あぁ…ありが、」
顔を上げて、夏輝は思わず言葉を切り、目を見開いた。
夏輝「…あ…」
?「…お前、さっきの…」
ーーー 彼は、先程夏輝が見入っていたコンメの選手だったのである。