薄桜鬼 『突撃!新選組の晩御飯』

□No.1
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名前「 ─── ああ、寒かった!!」




コートに付いた雪を払いながら、私は小さな溜息をつく。

家の中だというのに、白い息が出た。




名前「ストーブううううっ!!会いたかったよ!!」




大急ぎで手を洗いに行き、予め付けておいたストーブの前で体を温める。

あったけ〜………。




皆さん、どうもはじめまして。

私、苗字名前です。

22歳独身、彼氏無しでございます。







──── つい3日ほど前、私は東北のとある田舎に引っ越しをした。

もともと空き家だったこの家を買い取り、リフォームをして住むことに決めたのだ。



何でも、この町は人口流出による人口減少が酷いのだという。

そこで、空き家をリフォームして破格で売り、都会に疲れた人を呼び寄せよう!みたいなプロジェクトをやっているらしい。


そして私も、都会に疲れてそのプロジェクトに惹かれて引っ越してきた人のうちの1人というわけだ。



ちなみに私の仕事は料理研究家なので、パソコンさえあれば何とかなる。

テレビ出演のオファーは断っているが、ブログや本を出していて、これが結構お金になるのだ。


以前していた仕事でもかなり稼いだし、お金の面での心配はいらない。


それが、移住を決めたきっかけの1つだ。



いやーでもさすがに寒いね、東北。

こんなに積もっている雪はテレビ以外で初めてみたよ。



とりあえず今のところの不安は、雪初心者の私がこの雪国で暮らせるのかっていうこと。

雪かきとか水抜きとか、その他にもやったことがないことやわからないことが沢山。



やっぱり田舎には知識と経験が必要………というわけで、ご近所の方々にいろいろと聞きながら生活することにした。


私の家の付近にある家は3軒ほど。

どこもおじいちゃんおばあちゃんしか住んでいない。



先程挨拶に行って来たのだが、すごく良い人達ばかりで快く私を受け入れてくれた。


おまけに、菓子折りを持って行っただけで野菜やら何やらいろいろと頂いてしまった。


なんて良い人達なの。



それに、早速いろいろと教えてもらえたし。

やっぱりギブアンドテイクの世界だし、何か料理でも作っておすそ分けに行こうかな。



……そうだ、これを機にシニア向けのレシピとか考えてみようかな。

うん、名案だ。




名前「そうと決まれば早速………って、いだあぁっ!?」




キッチンへ向かおうと歩き出した時、寄せてあったダンボールに足の小指をぶつけてしまった。

地味に痛いやつ!!




名前「いっててて……ちょっとダンボール多いな……歩きにくいし、納戸に閉まっとくか」




まだ開封していないダンボールもあるけど、今すぐ必要な物が入っているわけじゃないから大丈夫。


私の小指に喧嘩を売ってきたダンボールを1つ抱えて、私は納戸のある2階へと上った……。
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