薄桜鬼『桜恋録』1
□No.2
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名前「 ──── だーかーらー、私は異世界から来たんですって!」
……もう何回このセリフを言っただろうか。
縄で縛られ、正座させられ。
そしてここ、新選組の屯所の広間には、かの有名な幹部達が揃っている。
嬉しいけど!!
みんなに会えて嬉しいけども!!!
お願いだからそんな睨まないで!
土方さんはもちろんのこと、原田さんや藤堂さん、永倉さんまで睨みを効かせている。
沖田さんは……笑顔だけどなんかどす黒いオーラが……。
斎藤さんは無言でこちらを見ていた。
そして大好きな千鶴ちゃんがあんな遠くに……。
何この状況死にたい!!
土方「だっから何回も同じこと言わせんじゃねぇ!意味がわからねぇって言ってんだろうが!!」
名前「すいませんでした怒鳴らないでください!そして出来れば千鶴ちゃんの近くに座りたい!」
沖田「……どうして千鶴ちゃんのことまで知ってるのかな?」
名前「(*゚ロ゚)ハッ!!」
しまったああああああああああああ!!!!(本日二回目)
もうダメだ私、口開く度にボロが出る!
その場にいたみんなの目が一気に鋭くなり、殺気が増した。
泣きたい!もう泣きたいよ!!!
……すると、土方さんの隣に座っていた近藤さんが、「まあまあ!」と割って入ってきた。
近藤「そんな殺気を向けるな、彼女が怯えているじゃないか」
近藤さんんんんんんん!!!
あんたなんていい人なんだ!!!!
一生ついて行きます!!
近藤「ええと……まず、名前を教えてくれないか?」
名前「苗字名前です!」
元気よく答えると、「うむ、元気でいい子だ!」と近藤さんが笑いかけてくれた。
優しい!
近藤さん優しすぎるよ!!!!
近藤「それで……先程から君は異世界から来たと言っているが、それは本当なのか?」
名前「はい。こんなこと言ったって信じてもらえないかもしれないですけど、私はこの時代から150年以上先の平成という時代からやって来たんです。刀も使えなければ着物も着れません。未来から来たただの一般人です。だから土方さんそんなに眉間にシワ寄せないでください、シワ残りますよ?」
土方「斬られてぇのか」
名前「とんでもございません」
何故私はいつも一言余計なのだろう。
すると、沖田さんの隣に座っていた斎藤さんが立ち上がって刀を抜き、「副長を侮辱するな」と言って私を睨んできた。
怖い!
怖いからそんな睨まないでお願い!