Boys love

□命ある限り・上
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 今宵は雲一つ無い満月。月明かりが少年のきめ細かな浅黒い肌を青白く塗り替える。


 ガシャアァァン!!!

 激しく窓が割れる音はこの部屋から少し離れた場所で、自分と同じ目的を持つ者が発したもの。途端に警報が鳴り響き、足音が先の音の方向へと向かうのが聞こえる。

────悪く思うなよ。

 騒ぎを起こしたその仲間に向け胸の内で呟く。
 彼が逃亡を計画している事は既に耳に入っていた。だが、それは穴だらけですぐに見つかってしまうようなものだった。親切な人間なら計画の誤りを伝えるのだろうが、自分はこれを利用し、代わりに抜け出そうと考えたのだ。

 窓を開け放つ。既になっている警報はこの窓を開いても変わらない。
 心地よい夜風が彼の跳ねた豊かな髪をたなびかせ、吹き抜けていく。浸るのは後回しにして警備の手薄になった庭に飛び降り、そのまま仄明るい道を駆け出した。
 目的のマンホールは500メートル程離れた所にあった。近くのだとコンクリートの壁で封鎖されていて出られ無いからだ。着くとなるだけ音を立てぬ様静かに、但し迅速に蓋を開き、誰にも見られていない事を確認しながら閉じた。


────俺の人生は俺のものだ…もうお前等の勝手にはさせねぇ…!



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