Boys love

□子供だなんて馬鹿にするな
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「…おい、クソガキ。」
「…なんだよ…」
「いつまで起きてるつもりだ…?」
「…バダが寝るまで。」

…ちっ、面倒くせぇ。
なんだって俺がこのクソ生意気なガキを預からなきゃいけねぇんだ。
というのも、コイツの親がどっちも遠征に行っちまってる上にコイツが託児所に頑として行きたがらないからだ。ついでに言うと、やけに大人ぶるこのガキを親も気に入らないらしく、遠征の無い時だってうちにも2人ガキがいるのをいいことに押し付けてくることだってある。自分が育ててこうなった子供だろうが。

それにしても、もう丑三つ時だと言うのにターレスときたらテレビに張り付いて動こうともしない。しかも観てるのはちゃちい子供向けアニメではなくどこぞの惑星の刑事ドラマだ。もっとも惑星ベジータに秩序なんてないんだからサイヤ人に刑事や警察の概念は皆無なのだが、何故かずっと目を離さず観ている。何が面白いかは俺にもわからない。
しかし、さすがのターレスも睡魔が襲ってきたのか目を擦り始め、頭が右に左に揺れている。
因みに俺はずっと後ろで胡座をかいて酒を飲んでいたのだが(途中でターレスが手を伸ばしてきたが取り上げた)、うつらうつらし始めたと思った数分後には脚の上にターレスの頭が乗っかっていた。

よく覗き込んでみると、長いまつ毛の瞼をぱっちりと閉じ、下唇を軽く食んでいる。カカロットみたいな間抜けな笑顔ではないが、普段一丁前にすましているだけにこんなにも穏やかな表情ですやすやと寝息を立てているのが不思議に思える。それと同時にやはりコイツも子供らしく可愛げのある顔ができるのだと、柄にもないが微笑ましく感じた。
とにかく、早く布団に入れないと風邪を引くだろうから、脚の上の軽い身体を抱え上げ寝室へと歩き始めた。

貰い物の為自分一人だと無駄にでかいセミダブルのベッドにそっとターレスを寝かせ、空いている方に自分も横になる。隣に顔を向けると柔らかくて美味そうな頬が目に入り、俺は無意識にふにふにとそれを指で押していた。すると、さすがに違和感があったのかすぐ上の瞳がうっすらと開いた。

「…んぅ……バダぁ…?」

暫くの間微睡んだ目で俺を見つめていたが、何かにはっとして取り乱し始めた。

「おっ、俺、寝ちまったのか…!?」
「ああ、随分可愛い顔で寝るから本当にお前なのか疑っちまったぜ…」
「俺の寝顔見たのかっ…!?くそっ、だからアンタよりも後に寝たかったのに…!」
「ほーぅ?面白いこと聞いたぜ…クックックッ…」

どうやら俺にガキと思われるのが心底嫌で、寝る時まで肩肘張ってたらしい。そして悔しそうなこの顔。何だか可愛らしくも見えてきたし、もっといじめてやりたくなる。

「そうかそうか…俺の前ではいつでもカッコつけていたいんだな?ハハッ…」
「うるさいっ…それ以上ごちゃごちゃ言うとアンタが寝てる間に抱いちまうからな?」
「抱くだぁ…?初めても来てないクソガキが何を言いやがる…」
「バカにするな!そのぐらい来てる!いつでもアンタのこと抱けるんだからな!」

こいつは驚いた。俺のことをそんな目で見ていたなんて、しかもこんな小さな子供が。その為に突っ張って生きてきたなんて尚更可愛いヤツじゃないか。当然俺は吹き出してしまい、さっきまでつついていた頬はぷっくり膨らんだ。

「笑うなよ…俺はっ…」
「悪かった。てめぇをからかうのは楽しくてな…ったく、そんな顔してると…喰っちまうぞ…?」

最後の言葉を殊更低い声で囁いてやれば、成り行きで抱き寄せた身体がビクリと震えて熱を帯びてきた。いや、こんなつもりはなかったのだが、こうもはっきりと反応されると一歩間違いを犯してしまいそうで、その気にならないように理性を総動員して押さえ付ける。

「っ…何を言うんだよ…喰うのは、俺だからなっ…今に見てろよ…」

これ以上自分の間抜け面を見られたくないのか、ターレスは布団を頭から被り引っ込んでしまった。その後も暫く罵詈雑言らしき言葉が聞こえたが、段々と小さくなっていったから俺も眠気に身を任せて意識を沈ませた。



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