短編小説
□君の視線を奪いたくて
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「天才、どうかな?…みっちゃん喜んでくれるかな」
屋上の上…顔を赤くして鈴音は下を向く。
天才は渡されたラブレターをつらつらと読んでいき、軽く息を吐き鈴音に返した。
「……そう、だな。いいんじゃないのか?」
「ほんと!?やった!天才がいうなら間違いないって事だ!」
ぱぁっと顔を明るくさせて喜ぶ鈴音。
その明るい笑顔で、
彼女への恋心と奇麗田見朗に取られるのではないかという不安さで天才の心臓の鼓動は強く高鳴る。
「これならみっちゃんも私の気持ちに…」
「鈴音」
「え?何……」
鈴音の腕を掴むと、天才は屋上の壁に彼女を壁に貼り付けた。
いわゆる壁ドンのようなものになっている。
「!?ちょ、ちょっと天才…!?///」
「鈴音………」
赤くなった鈴音の頬を撫で、
真っ直ぐに彼女の瞳を見つめる。
天才が寂しそうな瞳で見つめる物なので鈴音も大人しく彼をみつめる
。
「天才…?」
「わからない…なぜ奇麗田見朗なんだ」
「え、」
「なぜ私を想ってくれない」
「てんさ、」
「こんなにも想っているというのにお前の視線はなぜ奇麗田見朗に行っている」
「……鈴音…私では、駄目なのか?」
天才は鈴音の顎を軽く引き、
無防備な口元に顔を近づけた。