短編小説

□蜘蛛に捕まった剣士
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「妖怪土蜘蛛だな、私の名前は海堂霧子!貴様の罪を切り捨てに参った!いざ覚悟!貴様の首を切り捨ててくれる!」

「…ほう、威勢のいいおなごだ」



時は江戸時代、空は既に黒くなり明かりのない街が常闇に染まり暗くなり、妖怪たちがぞろぞろと活動を始めた丑三つの刻‥
人気のない山奥の平原に2人はいた。
妖怪退治の女剣士霧子は剣を構え目の前の敵となる妖怪土蜘蛛と退治していた



「吾輩を退治する、と?なるほど‥面白い」
「余裕だな、行くぞ!!」



勢いよく風のように駆け出し刀を抜き
土蜘蛛の体めがけ刀を振る霧子、
だが土蜘蛛はその動きを読み取りひらりと
簡単にかわして見せた
かわされたことに怒りを覚えまた今度は首めがけ振り上げたがこれまたひらりとかわされそんな戦いが続き怒りが表情に出てくる。



「感情が動きに出ておるぞ霧子よ、お主はどうやら単純なようだな」
「私を愚弄するか!!貴様!!」
「ほら隙が見えた」



土蜘蛛はニヤリと笑うと指先から蜘蛛の糸を出し、糸を使い彼女から刀をとりあげ霧子を糸に絡めて捕まえてしまった。
捕まった霧子は小さく唸る。



「っぐ…!は、はやい!!これが大妖怪土蜘蛛…」
「まだまだ未熟なようだな」
「…くそ…私を喰らうつもりか…!」



糸に捕まったまま土蜘蛛を睨む霧子に土蜘蛛は喉の奥でクックッ、と笑うとその柔らかな頬に手を添えた。



「そうさな…別の意味では喰ろうてしまうかもしれぬな」
「どういう意味だ!」
「そのままの意味だ霧子、お主は吾輩の物となる、ふふ…随分前にお主を街で見かけ惚れた時からそう決めておったのだ」
「…は!?」


土蜘蛛のその言葉に訳が分からないというふうに目を丸くする彼女に土蜘蛛は顔を近づけ、恍惚とした表情で見つめ言葉を続ける。


「我輩と共に長い時を生きろ霧子、愛しておるぞ」




蜘蛛に捕まった剣士

「(ずっと待っていたのだぞ吾輩は…罠を貼り、お主が吾輩に会いに来るのを)」
「(いつから知っておったか?そんな事はどうでもよかろう)」
「(逃がさんぞ)」


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