pkmn
□なんだかんだ君が好き、
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たまの何もやることのない日。その日は母も出張に行って私一人。つまり自由に過ごせる。けれど特にやることもなく、外に出る気力もなく床に寝転がってゴミみたいな気分に浸っていた。
「シグレーーー! 今日トバリのデパートでセールやってるから行くぞーーって何してんだ?」
騒がしい幼馴染が来ても私はゴミの気分を貫く。私はゴミなのだから。というか女の子の部屋にずかずかと入り込むもんじゃないぞ。
「シグレ!」
いきなりジュンの顔がドアップで出てくるものの動じない。ゴミだから。生きてんのか、とジュンは頬をプニプニしてきたりする。動じない私に対しどうしたものかとジュンはあぐらをかきながら考えている。
『ジュンもたまには寝ころがろうよ……』
「うおうっ! なんだ起きてたのかこれからチューでもしようかと思ったのに」
声かけてよかった。
「そんなことして楽しいのか?」
『外に出る気分ではない今はなんか楽しくなってきたかもうひっ!?』
つつー、と私のヘソをジュンの指が這い回って思わず声を上げ起き上がる。
「あはは! ビクンってなってやんの!」
『お、女の子のヘソ直接触るってどういう神経なの!!』
「幼馴染みの特権てやつだな。無防備でいるのが悪い!」
完全にジュンをただの幼馴染みと認知していた私も悪い。こいつもれっきとした男なんだ。これから気をつけねば。
「シグレ、出かけるから早く着替えろ。外で待っててやる。なんなら着替えさせてやろうか?」
『いいからはよ出てけ!!』
つっぱりをしながら部屋からジュンを追い出す。一瞬でも女の子扱いしてくれると思った私がバカだった。とりあえずいつでも走れるように動きやすい服装で外に出た。
『なんだその真新しい物を見る目は』
「さっきまでゴミの気分味わってたやつが服装一つで可愛くなるなんてな」
言われてることは散々だけどやっぱり可愛いと言われると嬉しい。なんでこいつは恥ずかしげもなく言えるのだろうか。チューするところだったとか、着替えさせてやろうか、思い出したこっちが恥ずかしくなる。
「ほら、早く行くぞ」
『なんだってんだか……』
私はムクホークにまたがり、赤い顔を見られないようにジュンの背中に掴まっていた。