短編
□百花の誘い
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私の卒コンが決まってからほとんどの卒業生は参加してくれるって言ってくれてるけど唯一百花だけ参加しないと言っていた。
まあ百花らしいし、しゃーないかなって思ってたけどやっぱさみしいな。
そんなことを考えていると百花から電話が来た。
「もしもし?」
百「あーさやねえ?んーっと、プライオリティーやらへん?」
思わず声を上げて笑ってしまった。出ないって聞いてたのに電話の第一声でそれかい。
「百花がそういいならええで?」
百「じゃあ決まりやんな〜じゃあわたしは三田に話つけとくからゆーりちゃんによろしく〜」
「え、ちょっと待って〜二人じゃないん?」
百「なわけないやん。さやねえはちゃんとゆーりちゃんキッスしてもらわな。」
「ん〜でも最後やしな〜ゆーりに聞いてみるわ。」
百「りょーかい。また連絡するわ〜ばいばーい」
相変わらずなやつだ。ステージに立つとなると、きっちりファンの求めることをやりたがる。
にしても、ゆーりと3万人の前でキス…
ゆーり絶対嫌がるやろな〜
楽屋に戻りゆーりの横に座る。
「あのさ、百花が卒コン出てくれることになって、プライオリティーをするねん。」
『えーーよかったじゃん!百花さんにあえるのうれしい!』
「それでな、私とゆーりにキスしてほしいみたいやねん。」
『え、、、』
「やっぱそうやんな。百花には私からキスは無理って言っとくわ。」
『いいよ。』
「ほんまに??お客さん3万人もおるんやで?」
『だからこそ、いいよ。最後だし。少しでも見せつけたい。』
恥ずかしいように俯きながらそんなことを言うゆーりに思わず笑みがこぼれた。
「ありがとう。いい思い出にしよな。」
公には初めてのキスってことになってるけど、リハでももちろんキスはせんかったけど、私たちにとってはキスのリハなんていらん。
初めてで3万人の前でキスできる人逆におらんやろ?
ステージ上で百花のそばにいるゆーりに本気混じりに嫉妬をしながら二人の間が険悪なように目線で演じる。
ファンのみんなも百花が出てきた時点で歓声がすごくて、注目してるんやろうな〜
「ゆーり!!、、」
『さやかさん、、」
ゆーりの目、ガチやん、
百「ごめん、俺がこの子もらってくわ。」
『いっつもそう。』
百花の卒公のときの台詞、ゆーりのツンなとこもたまらん。
三「ももかさん…?」
百「まお、、」
ゆーりが走ってくるのを抱きしめる。やっと私の元へきて、自然とニヤけてしまうけど大事な場面やし、と気持ちを入れる。
いつもより、ゆーりの視線が低い。
しっかり向き合い、気持ちを落ち着かせる。
キャーーーっと言う歓声を聞きながらゆーりに口づける。”今”を忘れぬくらい想いを込めて。
思ったよりがっつきすぎてゆーりの身体が引ける。腰に回した手を強めて、短い時間を堪能した。
「愛してる。」
本当に愛してるからこその演技。
終演後、あのキスがモニターに映ってなかったことを知り、その場面だけツイッターにあげた。
『ちょっと、彩ちゃん!なんであの場面のやつ載せてるの!』
ちょっと怒ったゆーりが言ってきた。
「ゆーりちゃんが〜3万人に見せびらかしたいって言ったんやん〜」
『だ、だけど、彩ちゃんのフォロワー200万人以上いるんだよ?』
「3万人も200万人も変わらへんやん。」
『ぜんっぜん違う!!』
顔を真っ赤にして怒るゆーりに更に愛おしさを覚える。
「ゆーり、目、ガチやったで??」
『いや、だから、その、、、そんなことないし!』
「かわいいな〜ゆーり、愛してる。」
チュッ、、、
三「あああぁーー!そうやってすぐいちゃいちゃして!!!」
楽屋が笑いに包まれる。
百花のおかげで最後にいい機会がもらえた。
百花にはゆーりとのきっかけを作ってもらってばっかやな〜
百花、ありがとう。