短編
□どっち?
1ページ/3ページ
珍しい人からメールが来た。
ご飯への誘い。
なんで今更みるきーが?
「さやかさーん、ねえ、さやかさんってば!」
「ん!ごめん!そんで、なんやったっけ?」
ゆーりが話しかけてきてたことに気づかなかった。それくらい私は驚いて、気持ちが美優紀にもっていかれそうになっている。
美優紀が卒業してもう2年。私たちは舞台上でのさやみるきー、つまり運命の人からは何も進まなかった。進む勇気がなかった。連絡もあれからたまにしかとっていない。
気づけば、隣にゆーりがいた。
今だって、ほら。
「さやかさん、ぼーっとしすぎですよ?疲れた?ちょっと寝ますか?」
私のことを一番に考えてくれて、ずっとそばにいてくれて、いつだって優しい。
私はそんなゆーりに惹かれたんだ。
なのに、、
たった一言のメールでこんなにも心が揺れ動いてしまうなんて、私はやっぱ、最低かもしれない。
ギュッ
ふとした温もりを感じ、ゆーりに抱きしめられたことに気づく。
「さやかさんは私のものですよ?」
さっきからゆーりの言葉に返事さえしない私なのにまたこうやって、ゆーりはいつも包み込んでくれる。
「週末、みるきーに会ってくる。」
「やっぱりみるきーさんですか?さやかさんがこうなるってことはそうかなって思ってました。」
「ごめんな。」
「なんで謝るんですか?さやかさんは私のものです。」
面と向かって、真顔でそう告げるゆーりに心なしか、すごく申し訳なくなった。