短編
□わからない
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NMBを卒業してから私にはすごく時間に余裕ができて、いまはオーストラリアに来ている。
日本にはないような環境で普通に路上ライブが行われているような文化が素敵だなって思った。
コアラだって見れたし、あんなポーズの大喜利みたいな写真をツイッターに載せちゃうあたり、私の根っこの部分は何も変わってないなって感じた。
『彩さんが卒業しても私たちの関係は変わらないよね?』
「そらそうやろ、ゆーりには私が必要やからな。」
そういってお互い顔を見合わせて笑っていたあの頃がすごく遠い昔のような気持ちになった。
卒業してすぐのうちはよく会っていたし、連絡もずっと取り合ってた。ゆーりが東京仕事の時はどんなに遅くなっても私の家に来ていたし。
いつからずれた?
もともとオーストラリアに予定は合ったし、でもこんな気持ちで日本を離れたくはなかった。
年末になり、ゆーりは俗に言う年末仕事ってやつでいろいろ忙しいみたいで連絡は取ってたけどなかなか会えずにいた。
いつしかLINEも全然返ってこなくなっちゃって、いまは一日に2やりとりできればいいくらい。
なのにゆーりは後輩といちゃいちゃしてる写真ばっかあげるし。いや、別に仲がええのはいいんよ?でも、モテすぎちゃう?
ゆーりが誰にでも優しくて、先輩としてしっかりしようとしてるのもわかる。
それがわかるからこそ、ゆーりに言うことはできない。ほんとに私のことがまだ好きなのかとか、なんですぐLINE返してくれないのとか。
言いたいことなんて盛りだくさん。
私が想うのはゆーりだけやのに。
ほんと天然人たらしには手が焼ける。
日本に帰ったら会いに行こう。
いきなり劇場に行ったらどんな顔するんかな。
後輩にちやほらされてるとこにいってみよっかな。
そんなことを想っちゃうくらい私はゆーりを信じてる。
ゆーり、大好きやで。
もっと私だけのものになってや。
そんな顔するの私の前だけにしてや。