短編
□こんな日も
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「ねぇ彩ちゃん…、ねぇ、おきて…」
なんかゆーりの声がする。夢かな?
「ねえってば、、彩ちゃん。」
いや、夢やないな。ゆーりが呼んでる。起きなきゃ。
『んー、どうした?眠いれないん?』
「なんか、ちょっと具合悪いかも…」
『え!大丈夫?とりあえず熱測ろか。」
珍しく夜中に起こしてくると思ったら体調が悪いみたいで。慌ててリビングに体温計を取りに行く。
『ほら!持ってきたから測って!』
「うん…ありがとう。」
ピピピッピピピッ
『何度やった?』
「ん」
無言で体温計を差し出される。
取ってのぞいてみると、37.5℃の表示。
『熱あるやん。』
「彩ちゃんごめん、私ソファで寝るね…」
そう言って怠そうな身体を引きずるように歩き始めたゆーりを咄嗟に止める。
『大丈夫やで。一緒に寝よう。』
「でも…彩ちゃんに移しちゃったら申し訳ないよ」
『私のことなんて考えんでええから。とりあえず寝よ?』
無言になったゆーりをベットに戻し、しっかり布団をかける。
ゆーりは申し訳なさげに私に背を向けて寝るから、せめてもの想いで後ろから抱きしめる。
「彩ちゃん、本当にごめんね。私、本当にプロじゃないや。自分の体調管理すらできない。」
『ゆーり、今はそんなこと思わんくてええ。』
いつもより暖かいゆーりの身体を包み込むようにし、手を繋いでいるとしばらくして寝息が聞こえた。
その寝息に私も安心し、目を閉じた。