短編

□複雑
1ページ/1ページ

ストーリーで質問募集すると大体多いのはみるきーについてのことで、ファンのみんなのそのワードでさえ私の心はくすぐられる。


卒業して3ヶ月経つのに未だにご飯に誘うことすらできないでいる自分に腹がたつ。
少しは大人になったと思ってたけど美優紀のことになると何も変わっちゃいない。

ましてや、もうゆーりとそういう関係になってしばらく経つ。なのにみるきーのたった4文字がここまで心にくるなんて。

美優紀がいま、誰かと幸せなのかもしれないのに。それを知るのが怖い。でも、何もせずにこのままでいいのだろうか。


メール、してみよう。


返信は思ったより早くきた。


“ご飯の誘い、遅ない?(笑)
今週末空いてるよ!”


美優紀、私からの誘い待ってたん?なんで?
とりあえずこの機会を逃したらあかんのは流石にわかる。今週末会おう。



撮影が押しちゃって美優紀を待たせてるお店へ急いで行く。呑気そうなタクシーのおっちゃんにできるだけ急いでくれるようにと伝える。


いままで美優紀のこと待たせたことなんてなかったのに…最悪や。
ちゃんと謝らなあかんな。



お店に入り、美優紀を探す。


『さやかちゃん!こっち〜!』


左奥の方から聞き慣れたどこか懐かしいような声が聞こえた。それだけで嬉しくなり、にやけそうになるけど冷静を繕う。


「待たせてごめんな。ほんまに申し訳ない。」
『大丈夫やで!さやかちゃんが簡単に遅れるような人やないことは私が一番知っとるし!』


会ってからずっとあのニコニコ顔でいる美優紀にすごく心が安堵する。


そこからしばらくお互いの今の仕事の話だとか次のライブの話とかで結構盛り上がった。


美優紀、今彼氏おるのか聞かなあかんよな…。



『さやかちゃんはゆーりちゃんとうまくいってるん?』
「え、、、うん、まあ、、」



まさか美優紀からゆーりの名前が出るとは思わなかった。すごく複雑な気持ちになる。



『知らんかったと思ってたん?さやかちゃんのこと見てたらなんでもわかるよ?』


真面目なこと言ってるのに顔はニコニコで、きっと美優紀にはなんだってお見通しなんだろう。



「美優紀は、いま付き合ってる人おるん?」
『おるわけないやん!私がいたら、匂わせるん知ってるやろ?』



そうやった。卒業の時だって、あんだけ匂わせてたやつが彼氏がおることを匂わせないわけはなかった。



『さやかちゃん、ゆーりちゃん大事にしてな?応援してんで〜』



美優紀に言われることが一番つらい。
私がゆーりと付き合ってなかったら…





美優紀は私と付き合ってくれたのだろうか。


次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ