閑話集

□My dear Valentine
5ページ/5ページ


そそくさと帰っていったクリスを見送り、国木田はマグカップを机の端に置く。
そして大きなため息をついて顔を手のひらで覆った。


「……谷崎め……」


日本のバレンタインデーを知らなかったクリス。
今日それを知り、谷崎にようやく教えてもらったのがこのホットチョコレート。
探偵社員にそれをお披露目するのは明日。

つまり。


――彼女の初めてのバレンタインデーの相手が、国木田だったことになる。


「……仕事、しよう」


言い聞かせ机に向き直る。
あたたかな甘さが体内に灯り、心なしか頭の疲れを癒してくれた気がした。





-----

「My dear Valentine」end.
次の章へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ