第2幕
□花の愛で方は数在れど
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ポートマフィアに攫われた敦を、鏡花共々救い出した後日。
探偵社は通常営業を再開し、滞っていた業務に全社員が追われていた。
敦は賢治と共に「走行中の車が謎の爆発をする」という市警からの依頼を受けて出ている。
賢治のやり方は独特だ。
敦に正しい調査方法を教え直さなくてはいけない。
いつも通りパソコンに向かいながら、国木田は今夜の仕事の為の情報を整理していた。
政府関係者から護衛任務が来ているのだ。
「国木田さん、今夜の会場の見取り図です」
谷崎が一枚の紙を手渡してきた。
彼もまた、今夜の護衛任務に当たる。
「ああ、助かる」
「えっと、政治家の方に脅迫状が届いたんでしたっけ?」
「ああ。殺害予告がな。しかし政府官僚のパーティだ、官僚付きのボディガードもいる上、会場は海外の役人も使う高級ホテル。セキュリティは万全だ、外部の人間が潜入する線は薄い。内部の人間を装ってくるだろう。その不審者を見つけ出すことが俺達の仕事となる」
カタカタとキーボードを叩く。
画面にはパーティの予定が表示されている。
警護を行う上で重要なのは、パーティの流れを把握し警護対象の動きを予見し行動することだ。
会場時間は午後五時。
パーティ開始は午後六時。
「四時半から依頼人と打ち合わせだ。四時に出るぞ」
「了解です」
谷崎が頷く。
警護任務は初めてではない。
滞りなく終わるだろう。
ふと、国木田のケータイが着信を告げる。
それは、賢治の並外れた調査方法についていけなくなった敦からの電話だった。
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